相続税の障害者控除について

相続税の障害者控除についてざっくり説明します。

 

1.相続税の障害者控除

 相続または遺贈により財産を取得した者のうちに一定の要件に該当する障害者がいるときは、その方の相続税額から一定額を控除することができます。

 

2.障害者控除が受けられる人

 下記の①~③のすべてを満たす方が対象となります。

障害者であること。

85歳未満の者であること。

③被相続人(亡くなった方)の法定相続人であること。 

 相続の放棄があったときには、その放棄がなかったものとしたときに法定相続人であること。

④相続または遺贈で財産を取得したに日本国内に住所がある人。

 ※平成29年4月1日以後に相続開始(亡くなられた)ときは、日本国内に住所がある人が

  一時居住者で、かつ相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人であるときは対象となりま

  せん

  

3.一時居住者の要件

 一時居住者とは、相続開始に出入国管理および難民認定法別表第一上欄の在留資格を有する人で、その相続開始時前15年以内のうち日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以内である方をいいます。

 

4.一時居住被相続人

 下記の要件をすべて満たす被相続人のことをいいます。

①相続開始時に出入国管理および難民認定法別表第一上欄の在留資格を有していたこと。

②相続開始時に日本国内に住所があったこと。

③相続開始前15年以内に日本国内に住所を有していた期間期間の合計が10年以下であること。

 

5.非居住相続人①

 下記の要件をすべて満たす被相続人のことをいいます。

①相続開始時に日本国内に住所がなかったこと。

②相続開始前10年以内に日本国内に住所がある人のうち、相続開始前15年以内に日本国内に住所を有していた期間期間の合計が10年以下であること。

③相続開始前15年以内に日本国内に住所を有していた期間期間の合計が10年以下(その期間引き続き日本国籍を有していなかった人に限る。)

 

6.非居住相続人②

 相続開始前10年以内に日本国内に住所を有したことがなかった被相続人のこと。 国籍は問われません。

 

7.非居住外国人

 下記の(ア)および(イ)を満たすときは、経過措置として平成29年4月1日~平成34年3月31日までの間は、被相続人が平成29年4月1日から相続開始時まで引き続き国内に住所を有さず、日本国籍がない方(=非居住外国人)

(ア)被相続人の要件

  ・相続開始に国内に住所ないこと。

  ・相続開始前10年以内に国内に住所あること。

  ・非居住相続人に該当しないこと。

(イ)相続人の要件

  ・相続開始に日本国内に住所ないこと。

  ・相続開始日本国籍ではないこと。

 

8.障害者控除の対象者の図解

障害者控除の対象者の図解

※「黄色」に該当する人が未成年者控除の対象なります。

※「経過措置あり」と記載がある箇所は、非居住外国人となります。

 

9.障害者控除額の計算

(1)一般障害者の場合

障害者控除額=(85歳-相続開始時の年齢)×10万円

※相続開始時の年齢が30歳3カ月だったとき

85歳-30歳3カ月=54年9カ月→55年 ※1年未満は切上

55年×10万円=550万円

 (2)特別障害者の場合

障害者控除額=(85歳-相続開始時の年齢)×20万円

※相続開始時の年齢が30歳3カ月だったとき

85歳-30歳3カ月=54年9カ月→55年 ※1年未満は切上

55年×20万円=1,100万円

 

10.一般障害者

 一般障害者とは、次のいずれかに該当する方になります。

身体障害者手帳3級~6級と記載されている方。

②児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により

 知的障害者とされた方のうち、重度の知的障害者とされた方以外の方

精神障害者保健福祉手帳二級または三級と記載されている方。

常に就床を要し、複雑な介護を要する方のうち、精神または身体の障害の程度が①または②に掲げる方

 に準ずるとして市町村長などの認定を受けている方。

⑤精神または身体に障害がある65歳以上の方で、精神または身体の障害の程度が①または②に掲げる方

 に準ずるとして市町村長などの認定を受けている方。

戦傷病者手帳に記載されている精神上または身体上の障害の程度が次の項目に該当する方

(ア)恩給法別表第一号表の二の第四項症から第六項症までの障害があるもの

(イ)恩給法別表第一号表の三に定める障害があるもの

(ウ)傷病について厚生労働大臣が療養の必要があると認定したもの

(エ)旧恩給法施行令第31条第1項に定める定める程度の障害があるもの

 

11.特別障害者

 特別障害者とは、次のいずれかに該当する方になります。

身体障害者手帳1級または2級と記載されている方。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方、または、児童相談所、知的障害者更生相談所、

 精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた方。

精神障害者保健福祉手帳一級と記載されている方。

④常に就床を要し、複雑な介護を要する方のうち、精神または身体の障害の程度が①または②に掲げる方に

 準ずるとして市町村長などの認定を受けている方。

⑤精神または身体に障害がある65歳以上の方で、精神または身体の障害の程度が①または②に掲げる方に

 準ずるとして市町村長などの認定を受けている方。

⑥戦傷病者手帳に記載されている精神上または身体上の障害の程度が恩給法別表第一号表の二の特別項症から

 第三項症までであると記載からされた方。

⑦原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている方。

 

12.障害者として取り扱うことができる方

 相続開始時亡くなったとき)に身体障害者手帳などの交付を受けていない方でも、次のすべての要件に該当するときは一般障害者または特別障害とされます。

①相続税の期限内申告書を提出するときに、手帳の交付を受けている、または、手帳の交付を申請中である。

交付を受けている手帳、手帳の交付を受けるための医師の診断書、精神障害を支給事由とする給付を現に

 受けていることを証する書類により、相続開始時明らかに手帳に記載されている程度の障害があると認め

 られている方。

 

13.障害者の扶養義務者から控除できる障害者控除

 障害者の方の相続税額より障害者控除額が多いときに、その障害者の方の扶養義務者で同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得したときは、その扶養義務者の相続税額から障害者控除額を控除することができます。

 ※障害者 相続税200万円、障害者控除額550万円

200万円-550万円=-350万円(控除不足額)

扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹並びに3親等内の親族のうち一定者)

相続税額 500万円

500万円-350万円(控除不足額)=150万円

 

14.過去に障害者控除を受けていたとき

 障害者の方が過去に障害者控除を受けていたときの2回目以降の障害者控除は、それまでに相続税額から控除した障害者控除の残額の範囲内しか控除することはできません。

1回目の相続開始時 30歳 相続税額200万円

(85歳-30歳)×10万円=550万円-200万円=350万円(控除不足額)

2回目の相続開始時 40歳

(85歳-40歳)×10万円=450万円>350万円 ∴350万円(少ない金額)

 

上記の内容は、平成29年11月9日時点のものとなります。

各個別的事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。

 

佐藤智明税理士事務所 https://www.satoh-tax.com/

税理士・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー

関東経済産業局 認定経営革新等支援機関

  

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