銀行等は、会社にとってビジネスパートナーの1つです。
今後の銀行の融資、事業性評価についてざっくり理解できる。
銀行等の借入の評価方法が変わる事業性評価融資
銀行等は、融資について事業性評価という基本方針が金融庁などから求められていて、その事業性評価により融資や助言を行い、会社の成長支援することとなります。
銀行等の融資の事業性評価について記載します。
銀行等の借入の新しい評価方法 事業性評価とは?
金融庁などは銀行等の融資について次の基本指針を取り組みを推奨しています。
「決算書、担保、保証に必要以上に依存することなく、借り手の会社の事業内容、成長可能性などを適切に評価し、融資や助言を行い、会社や産業の成長を支援していくことが求められる。」
この基本指針の『適切に評価』が事業性評価となります。
また、『決算書、担保、保証に必要以上に依存することなく』とありますが、あくまでも『必要以上に』と言っているので、まったくしないとは言っておりません。
この基本指針により、銀行は、決算書、担保主義だけでなく、事業性評価による融資を拡大するように変わっていくと考えられます。
「6つの財務指標」
事業性評価の1つは、次の財務分析により事業価値を判断します。
- 成長性
- 収益性
- 生産性
- 健全性
- 効率性
- 安全性
指標1「成長性」
成長性は「売上高増加率」で判断している
売上高増加率={(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高}×100%=○○%
どれくらい売上が伸びたかを簡単に算出できる指標。
一般的に、中小企業では10%以上、大企業は5〜10%が目安とされている。
ただし、売上高を使用しているため利益がどれくらい出ているのかなど詳細は判断することができない
指標2「収益性」
収益性は「営業利益率」で判断している
営業利益率=営業利益÷売上高=○○%
売上から本業の利益(営業利益)が出ているのか、つまり、本業の収益力を把握するための指標
指標3「生産性」
生産性は「労働生産性」で判断している
労働生産性=営業利益÷従業員数=○○○○円
従業員一人当たりの営業利益を測定でき、一人の従業員がどれだけ効率的に本業の利益を生み出しているかを判断する指標
指標4「健全性」
健全性は「EBITDA(イービットディーエー)有利子負債倍率」で判断している
EBITDA(有利子負債倍率)={(借入金‐現金預金)÷(営業利益+減価償却費)}=○○倍
利息をつけて返済する借入金を営業キャッシュフローの何年分で返済できるかを判断する指標
指標5「効率性」
効率性は「営業運転資本回転期間」で判断している
営業運転資本回転期間=(売上債権+棚卸資産-仕入れ債務)÷(売上高÷12)=〇ケ月
事業を継続するために必要な運転資金が売上高の何ヶ月分かを判断する指標
指標6「安全性」
安全性は「自己資本比率」で判断している
自己資本比率=(自己資本÷総資本)×100%=○○%
中長期の財務安全性を判断する指標。
自己資本比率100%は無借金経営になる
「数字以外の4つの事業価値」
財務分析以外の情報は、つぎの4つの視点から情報を現状と将来の目標を明らかにして、課題と対応策を考えます。
- 経営者
- 事業
- 企業を取り巻く環境と関係者
- 内部管理体制
など
指標7「経営者」のポイント
中小企業の優劣は、経営者に依存していると考えられているため次の項目がポイントになります。
- 経営理念、ビジョン、考え、経営方針など
- 経営者の経営意欲
- 後継者の有無、後継者の育成状況
- 承継のタイミング、関係性など
など
指標8「事業」のポイント
- 企業や事業の沿革
- SWOT分析による強みと弱みの把握
- 事業の商流
- 競合他社との比較
- ビジネスモデル
- ITへの投資、活用状況
- 時間あたりの生産性向上に向けた取り組み
など
指標9「企業を取り巻く環境と関係者」のポイント
- 市場動向、規模、シェアの把握や競合他社との比較
- 顧客リピート率、新規開拓率、主な取引先企業の推移
- 従業員の定着率、勤続年数、平均給与
- 取引金融機関数
など
指標10「内部管理体制」のポイント
- 組織体制、品質管理、情報管理体制
- 事業計画、経営契約の有無
- 社内会議の実施状況
- 研究会開発、商品開発の体制
- 知的財産権の保有と活用状況
- 人材育成の取り組みや仕組み
など
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