銀行が決算書のどこをみているのか経営者が知っておきたい6項目

銀行などの金融機関は、会社にとってビジネスパートナーの1つになります。

銀行などの金融機関がどういった視点で決算書などを見ているのかを知っておいて損はないです。

銀行から借入するときに、銀行は決算書のどこをみて借入を決めているのかをざっくり記載します。

銀行から融資を受けるときの格付けと債権者区分

銀行などの金融機関は、会社にとってビジネスパートナーになります。
経営者や事業者と金融機関との接点の一つである融資を受けるときに、銀行は何を基準にして融資を決めているのか知っておいて損はありません。

これまでの銀行が融資をする基準

銀行などの金融機関は、これまで決算書(財務データ)、担保、保証人などを重視して「格付区分」をし、その格付区分により、融資ができるのか、融資額、金利などを決定してきました。

一般的には、「定量性評価」と「定性評価」と呼ばれて、それを点数化して格付区分をしています。

銀行がしている会社の格付け評価

銀行などの金融機関は会社を「定量性評価」と「定性評価」により、それを点数化して格付区分を次のようにしています。

各付区分定義債権者区分
財務内容が優れており、債務履行の確実性が最も高い。正常先
財務内容が良好で、債務履行の確実性は高いが、
事業環境等が大きく変化した場合には、その確実性が低下する可能性がある。
財務内容は一応良好で、債務履行の確実性に当面問題はないが、
事業環境等が変化した場合、その確実性が低下する可能性がある。
財務内容は一応良好で、債務履行の確実性に当面問題はないが、
事業環境等が変化した場合、その確実性が低下する懸念がやや大きい。
債務履行の確実性は認められるが、事業環境等が変化した場合、
履行能力が損なわれる要素が見受けられる。
債務履行の確実性が先行き十分とはいえず、事業環境が変化すれば、
履行能力が損なわれる可能性がある。業況推移に注意を要する。
業況、財務内容に問題があり、債務の履行状況に支障を来す懸念が大きい。要注意先
業況、財務内容に重大な問題があり、債務の履行状況に問題が発生しているかそれに近い状態。要注意先(要管理先)
経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗も芳しくなく、
今後、経営破綻に陥る可能性が高い。
破綻懸念先
10深刻な経営難の状態にあり、実質的な破綻状態に陥っている、
または法的・形式的な破綻の事実が発生している。
実質破綻・破綻先

銀行が決算書の数字で評価している定量性評価

銀行が決算書を基にした定量性評価は、決算書の数字を同業種と3期分を比較、分析を行ない点数化しています。

  • 安全性
  • 収益性
  • 成長性
  • 返済能力の分析
  • 実態調整
    など

銀行が決算書の数字で評価している定量性評価1:安全性の分析

安全性の分析とは、おもに次のような指標を分析しています。
会社の支払い能力がわかります。

  • 流動比率
    (流動資産÷流動負債)×100=〇〇%
  • 自己資本比率
    (純資産÷総資本)×100=〇〇%

    など

銀行が決算書の数字で評価している定量性評価2:収益性の分析

収益性の分析とは、おもに次のような指標を分析しています。
自社の過去実績だけではなく、全国の同業他社と比較することを推奨しています。

  • 売上総利益率
    (売上総利益率÷売上高)×100=〇〇%
  • 売上経常利益率
    (経常利益÷売上高)×100=〇〇%

    など

銀行が決算書の数字で評価している定量性評価3:成長性の分析

成長性の分析とは、おもに次のような指標を分析しています。
自社の3期分と同業他社と比較することを推奨しています。

  • 従業員1人あたり売上高
    売上高÷従業員数(労働時間)=〇〇円
  • 従業員1人あたり経常利益
    経常利益÷従業員数=〇〇円

    など

銀行が決算書の数字で評価している定量性評価4:生産性の分析

生産性の分析とは、おもに次のような指標を分析しています。
自社の3期分を比較することで、会社が成長しているのか衰退しているのかわかることになります。

  • 売上総利益率
    (売上総利益率÷売上高)×100=〇〇%
  • 売上経常利益率
    (経常利益÷売上高)×100=〇〇%

    など

銀行が決算書の数字で評価している定量性評価5:返済能力の分析

返済能力の分析とは、おもに次のような指標を分析しています。
負債を何年で返済できるのか、利息の支払い能力を測定しています。

  • 債務償還年数
    (借入金÷実質利益)×100=〇〇年
  • インタレスト・カバレッジ・レシオ
    {(営業利益÷受取利息)÷(支払利息+手形割引料)}×100=〇〇倍

    など

銀行が決算書の数字で評価している定量性評価6:実態調整

実態調整とは、おもに次のような分析しています。

  • 売掛金の不良債権や商品の不良在庫の確認
  • 経営者などへの貸付金
  • 減価償却資産の未償却の確認
  • 繰延資産の査定

    など

銀行が決算書の数字以外で評価している 定性評価

定性評価とは、おもに次のような分析しています。

  • 業種の特性
    • 成長性
    • 市況変動の大きさ
    • 参入障壁
      など
  • 起業特性
    • 親会社または資本提携先との依存関係
    • 経営者の能力
    • 外部監査の有無
      など

これからの銀行の融資をする基準

金融機関は、政府と金融庁の方針によりこれから決算書(財務データ)、担保、保証人などを重視した「格付区分」だけではなく、
会社の将来性を評価した事業性評価を融資を拡大してくことになります。

しかし、
決算書の数字による定量性評価や経営者の能力による定性評価がなくなるわけではありません。

年1回決算のときに、自社の健康診断をして会社の改善点の1つとみてはいかがでしょうか?

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