平成30年度以降の所得税の配偶者控除についてざっくり説明します。
所得税の配偶者控除
所得税の納税者(所得控除を受ける人)に控除対象配偶者がいるときは、一定の金額の所得控除が受けられます。
所得控除とは?
所得控除とは、所得税を計算するときに利益から控除できる経費みたいなものです。
所得控除の種類によって、控除できる金額が違います。
また、所得控除の金額がそのまま税金が減るのではなく、所得控除×税率だけ税金が減るため収入金額や収入の種類によっていくら税金が減るかが変わります。
「控除対象配偶者」とは
- 平成29年まで
配偶者が12月31日に次のすべての要件に該当する人のことをいいます。- 民法の規定による配偶者(=婚姻の届出をしている配偶者)であること。
※内縁関係の人は該当しません。 - 所得税の納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
※収入が給与のみのときは、給与収入(額面)が103万円以下 - その年で一度も青色事業専従者として給与の支給を受けていないこと。
- 白色申告の事業専従者ではないこと。
- 民法の規定による配偶者(=婚姻の届出をしている配偶者)であること。
- 平成30年以降
上記①の配偶者のすべての要件に加えて、次の要件に該当する必要があります。- 所得税の納税者本人(所得控除を受ける人)の合計所得金額が1千万円以下であること。
※収入が給与のみのときは、給与収入(額面)が1,220万円以下
- 所得税の納税者本人(所得控除を受ける人)の合計所得金額が1千万円以下であること。
配偶者控除の控除額
- 平成29年まで
- 控除対象配偶者が12月31日に69歳以下であるとき
(一般の控除対象配偶者)
38万円 - 控除対象配偶者が12月31日に70歳以上であるとき
(老人控除対象配偶者)
48万円
- 控除対象配偶者が12月31日に69歳以下であるとき
- 平成30年以降について
所得税の納税者(控除を受ける人) | 配偶者控除額 | ||
控除を受ける人の合計所得金額 | 収入が給与のみ としたときの収入金額 | 控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 |
900万円以下 | 1,120万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超 950万以下 | 1,120万円超 1,170万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超 1千万以下 | 1,170万円超 1,220万円以下 | 13万円 | 16万円 |
所得税の配偶者の扶養親族等の数え方の変更|平成30年度改正
平成30年度改正により、配偶者の扶養親族等の人数の数え方に変更がありました。
- 所得控除を受ける人の配偶者が、源泉対象配偶者に該当するとき
扶養親族等の数に1人を加えて計算します。 - 所得控除を受ける人の配偶者が、同一生計配偶者で障害者に該当するとき
扶養親族等の数に1人を加えて計算します。 - ①と②両方に該当するとき
扶養親族等の数に2人を加えて計算します。
平成30年度と令和1年の所得税の配偶者特別控除
配偶者の所得が38万円(収入が給与のみのときは、給与収入(額面)が103万円)を超えて
配偶者控除を受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられます。
令和1年以前と令和2年以降の所得税の配偶者特別控除についてざっくり説明します。所得税の配偶者特別控除配偶者特別控除は、配偶者の所得が38万円(収入が給与のみのときは、給与収入(額面)が103万円)を超えて配偶者控除を受けられない[…]
確定申告で海外に住む親族を配偶者控除の対象にするとき
確定申告で日本国外に住む親族を配偶者控除の対象にするには、親族関係書類および送金関係書類を確定申告に添付する、または、確定申告書の提出するときに提示することになります。
親族関係書類
次のどちらかの書類で、国外居住親族が所得税の納税者の親族であることを証明するものをいいます。
※外国語で作成されているときは、その翻訳分も必要となります。
- 戸籍の附票の写しその他の国または地方公共団体が発行した書類および国外居住親族の旅券の写し
- 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類で、国外居住者の氏名、生年月日、住所または居所の
記載があるものに限ります。
送金関係書類
その年の次のどちらかの書類で、国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払いを、必要な都度、各人に行ったことを明らかにするものといいます。
※外国語で作成されたいるときは、その翻訳分も必要となります。
- 金融機関の書類またはその写しで、金融機関が行う為替取引により所得税の納税者から国外居住親族に
支払をしたことを明らかにする書類。 - クレジットカード発行会社の書類またはその写しで、クレジットカードで国外居住親族が買い物したことなどを
所得税の納税者から受領したことが明らかにする書類。
年末調整で海外に住む親族を配偶者控除の対象にするとき
年末調整で日本国外に住む親族を配偶者控除の対象にするには、次のどちらかの方法によることとなります。
(A)パターン
- 国外居住親族に係る配偶者控除の適用を受ける旨を扶養控除等申告書等に記載する。
- 扶養控除等申告書等に親族関係書類を添付する。
- 源泉徴収義務者に上記の書類を提出する。
(B)パターン
- 国外居住親族に係る配偶者控除の適用を受ける旨を扶養控除等申告書等に記載する。
- 扶養控除等申告書等を提出するときに、親族関係書類を提示する。
- 年末調整のときに、送金関係書類を扶養控除等申告書等に添付する、または、提示する。
年の途中で控除対象配偶者が亡くなったとき
配偶者が年の途中で亡くなったときは、その亡くなったときに控除対象配偶者に該当するかで判断することになります。
配偶者の合計所得金額38万円以下は、1月1日~亡くなった日までの合計所得金額で判定することになります。
年の途中で所得税の納税者(適用を受ける人)が亡くなったとき
所得税の納税者(適用を受ける人)が年の途中でなくなったときは、その亡くなったときに、適用を受ける人の配偶者が控除対象配偶者に該当しているかで判断することになります。
配偶者の合計所得金額38万円以下は、1月1日~12月31日までの合計所得金額を見積り判定することになります。
その他の所得控除
配偶者控除以外の所得控除は、次のようなものがあります。
- 雑損控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- ideco(イデコ・確定拠出年金)の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
- 生命保険料控除
- 個人年金保険料控除(生命保険保険料控除)
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- ふるさと納税(寄付金控除)
- 寡婦・寡夫控除
- 勤労学生控除
- 障害者控除
- 配偶者控除(現在のページ)
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
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具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。
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