中小企業・個人事業者が減価償却資産を購入したときについてざっくり記載します。
2023年1月18日 追記
減価償却資産を購入したときに確認したい7項目
減価償却資産を購入したときに、購入金額、使用できる期間、青色申告などにより費用に計上できる金額がことなります。
減価償却資産とは?
減価償却資産とは事業などのために使用される次の資産で、時間の経過によって価値が減少するものとされています。
- 建物
- 建物付属設備
- 機械装置
- 器具備品
- 車両運搬具
- 営業権、特許件などの無形固定資産
- 牛、馬、豚、果樹等の生物
など
減価償却資産に当てはまらないもの
時間の経過により価値が減少しないため次のような資産は減価償却資産とはなりません。
- 土地
- 平成27年1月1日以後に購入した美術品等
- 購入金額が1点100万円以上の絵画、彫刻などの美術品等
※時間の経過によってその価値の減少することが明らかなものは、減価償却資産となります。 - 購入金額が1点100万円未満の絵画、彫刻などの美術品等で、時間の経過によって価値の減少しないことが明らかなもの
など
- 購入金額が1点100万円以上の絵画、彫刻などの美術品等
そのため、
これらの購入金額を時間の経過によって費用とする減価償却費を計上するのは間違いということになります。
減価償却資産の費用にできる金額|原則
購入した減価償却資産を費用に計上するには、購入し、事業に使用する必要があります。
減価償却資産の種類などによって、その資産の使用可能期間が決られており、その期間に購入金額を分割して費用とします。
また、
使用し始めたのが事業年度の途中からのときは、使用を始めたときから事業年度の期間の月数分だけ費用とすることができます。
そのため、
節税目的などで事業年度の最終月に購入した減価償却資産の費用として計上できる金額は、その最終月に使用を始めたとしても減価償却費の1/12だけとなります。
例外1|少額の減価償却資産
購入した減価償却資産が次のどちらかに当てはまるときは、その購入金額の全額をその使用した事業年度の費用とすることができます。
- 使用可能期間が1年未満のもの
- 購入金額が10万円未満のもの
例外2|一括償却資産
減価償却資産の購入金額が10万円以上20万円未満ときは、その購入金額を使用を始めた事業年度から3年間で1/3ずつ事業年度の費用とすることができます。
一括償却資産のメリット
一括償却資産を選択した場合、償却資産税の対象外となります。
例外3|中小企業者等の少額減価償却資産
平成18年4月1日から20202024(令和46年)年3月31日までに購入金額が30万円未満の減価償却資産購入したときに、次のすべてのにあてはまるときは、その購入金額の全額を使用を始めた事業年度の費用とすることができます。
- 青色申告をしていること
- 中小企業者等であること
- 購入金額が30万円未満の減価償却資産であること
- このルールを適用する減価償却資産の購入金額の合計がその事業年度で300万円以下であること
- 令和4年4月1日以後に購入等し、貸付け用(主要な事業として行われるものは除く)は対象外となります。
中小企業者等
30万円未満の減少償却資産をその使用し始めた事業年度の経費にできる中小企業者等とは、
次にあてはまる事業者となります。
- 常時使用する従業員が500人以下の法人または個人事業者
※令和2年3月31日までは従業員数が1000人以下 - 資本金、出資金が「1億円以下」の法人
- 資本金、出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員が千人以下の法人
ただし、
資本金が1億円以下の法人でも次のどれかに該当したときは対象外となります。
- 大規模法人(資本金1億円超または常時使用従業員が千人超)から1/2以上の出資を受ける法人
- 複数の大規模法人から2/3以上の出資を受ける法人
- 平成31年度改正により、次の法人が追加されました
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
※大法人=資本金が5億円以上の法人など - 大規模法人に完全(100%)支配されている普通法人が対象外とされた
※大規模法人=大法人の100%子法人など
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
- 2019(平成31)年4月1日以後は、適用除外事業者に該当する法人が対象外となります。
※適用除外事業者=前3年間の所得金額が年平均15億円を超える法人
中小企業者等の少額減価償却資産のデメリット
中小企業者等の少額減価償却資産とした場合、償却資産税の対象となります。
例外4|青色申告の特別償却
青色申告書を提出する事業者が、一定の条件を満たすときに、通常の減価償却に上乗せして減価償却費をすることができます。
減価償却の上乗せの具体例は、つぎのとおりです。
- 経営改善設備を取得したときの30%増の特別償却と7%の税額控除
- 経営強化設備等を取得時の100%即時の特別償却と10%の税額控除
- 投資促進税制の設備を購入時の30%増の特別償却と7%の税額控除
- IOT投資を5000万円以上した時の30%特別償却と5%税額控除
- 2018年4月以降に保育施設用設備を取得したときの15%特別償却
減価償却資産の購入金額は税込、税抜どちらで判断するのか?
減価償却資産の購入金額は、会社が税込で経理しているなら税込みで判断し、税抜で経理しているなら税抜で判断することになります。
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