税務調査でも指摘を受けやすい交際費についてざっくり理解できる
2019年12月14日追記 令和2年税制改正大綱
個人事業者の交際費
個人事業者の交際費は、事業を行う上で必要であれば経費として認められ、取引先との飲食、お歳暮、お中元、祝儀、香典、お見舞いなど交際費です。
株式会社などの法人とは違い、上限などもなく事業に関係があるかどうかがポイントとなる
法人の交際費等
法人の交際費等は、基本、全額が経費(損金)にならない。
株式会社などの法人の交際費等は、個人事業者よりも理解しておくことが多くなる。
ただし、中小法人の交際費は、会社の規模などにより交際費の上限などがあり、上限を超えた交際費等は税金を計算するときに支出していても費用として認められないなど、そのルールを知っておく必要がある。
法人の交際費等の対象
法人の交際費等の対象は、次とおり
- 支出の相手が事業関係者
※得意先、仕入先、その会社の利害関係者、役員、従業員やその親族等、株主などを含む - 支出の目的が事業関係者等との親睦の度合いを密にして取引先と円滑な関係を図るため
- 接待、供応、慰安、贈答、その他これらに類する行為
- 接待:客をもてなすこと。湯茶・食事などを出してふるまう
- 供応:酒や食事を出して人をもてなす
- 慰安:心をなぐさめ、労をねぎらうこと。また、そのような事柄
- 贈答:お歳暮、お中元、祝儀、香典、お見舞いなど
- 上記に類する行為
法人の交際費等以外の費用になるもの
法人の交際費等から除外される費用
- 福利厚生費
専ら(もっぱら)その会社の従業員の慰安のための運動会、演芸会、旅行等に通常要する費用など - 広告宣伝費
費用カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなどの贈答品で通常要する費用など - 会議費
会議の茶菓子、昼食程度の弁当などの飲食で通常要する費用など - 一定の書類の保存がされている1人あたり5千円以下の飲食費
得意先などとの飲食費を人数で割った金額が5千円以下
自社の役員、従業員やその親族のみで行なった社内飲食費などは該当しない - 取材費
新聞、雑誌等の出版物、座談会などの記事の収集などの通常要する費用など - 寄付金
金銭で贈与した政治団体などへの拠金、神社の祭礼湯の寄贈金など - 値引き
- 割戻し
得意先に対し売上高などに比例して金銭で支払うものなど - 給与等
- 常時給与とされる昼食等の費用
- 渡切交際費
など
- 景品費
- 一般消費者を対象とするもの
- 得意先を対象とした購入単価が3千円以下の少額物品
※商品券などは少額物品に該当しない
法人の交際費のうち1人あたり5千円以下の飲食費
得意先等と行った飲食費を人数で割った金額が5千円以下のうち、交際費等から除外したいときは、次を記録した書類を保存する必要がある。
ただし、飲食接待等のうち、自社の役員、従業員、役員や従業員の親族のみで行なった社内飲食費は、5千円以下の飲食費の対象にならない。
- 飲食等の年月日
- 飲食等に参加した得意先などの氏名や名称
- 飲食等に参加人数
- 飲食等の金額
- 飲食店等の名称、所在地
など
金額の税込、税抜の判断
税込経理のときは税込金額で、税抜経理のときは税抜金額で判断するが、消費税の納税義務者ではない事業者(免税事業者)は、税込経理しか採用できないため税込金額になる
接待飲食費とは
接待飲食費は、次の条件を満たす必要がある
- 交際費等のうち、社内飲食費を除く飲食その他これに類する行為のために要する費用
- 帳簿書類に飲食費であることについて所定の事項が記載されている
飲食費になるもの
飲食費は、専ら自社の役員、従業員、役員や従業員の親族に対する接待等に支出する社内飲食費を除き、次にあてはまるもの
- 自社の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
- 飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
- 飲食等のために支払う会場費
- 得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」
得意先等に差入れ後、相応の時間内に飲食されるようなもの - 飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」
交際費になる飲食費等
次の費用は、飲食費に該当しない交際費になる
- ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
※企画した旅行の行程の全てが終了し解散後に、一部の取引先の者を誘って飲食等した飲食費 - 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
- 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
社内飲食費に該当しない飲食費
次の飲食費は、社内飲食費にはならない。
- 親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する接待等のために支出する飲食費
- 同業者同士の懇親会に出席したときに支出する自己負担分の飲食費相当額
- 得意先等と共同で開催する懇親会に出席したときに支出する自己負担分の飲食費相当額
接待飲食費の帳簿に記載する必要項目
接待飲食費の帳簿に記載する必要項目
- 飲食費に係る飲食等(飲食その他これに類する行為。以下同じ)の年月日
- 飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称と関係
- 飲食費の金額
- その飲食店、料理店等の名称と所在地
- その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
交際費等となるタイミング
交際費等は、接待等の行為を行った事業年度の経費になり、次のときは注意が必要となる
- 未払い
- 仮払い
- 経理処理していない
令和2年税制改正大綱
2019年12月発表の令和2年税制改正大綱では、次のような内容が記載されています。
通常、税制改正大綱は、3月の国会で承認、4月以降に施行予定
- 交際費等の損金不算入の適用期限を2年延長
- 接待飲食費の損金算入に次のように記載されている
- 令和4年4月1日以後開始事業年度に対象法人から資本金の額等が100億円超の法人を除外
- 適用期限を2年延長
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