土地建物が収用され補償金で土地建物を購入したとき

確定申告:土地建物が収用され補償金で土地建物を購入したときの特例
この記事を読んでわかること

個人が所有する土地建物を収用され、その補償金で土地建物を購入したとき特例についてざっくり理解できる。

目次

土地建物を収用され補償金で土地建物を購入したときの譲渡所得の特例

個人で所有している土地建物を土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売却し、その補償金で代替資産の土地建物を購入したときに、一定の要件に該当するときは、次のどちらかの取り扱いができる。

  • 補償金 < 購入金額
    収用された年の売却(譲渡)がなかったものとされ、譲渡所得はなし
    ※所得税の課税が将来に「先送り」される
  • 補償金 > 購入金額
    収用された土地建物のうち、(補償金-購入金額)の部分だけ売却があったものとされ、譲渡所得を計算

要件|土地建物を収用され補償金で土地建物を購入したときの譲渡所得の特例

土地建物が公共事業で収用され、その補償金で代替資産の土地建物を購入したときの譲渡所得の特例の適用を受けるには、つぎの条件の全部にあてはまる必要がある。

  • 売った土地建物は固定資産であること
    ※不動産業者などが販売目的で所有している土地建物は適用できない
  • 「売却した資産と同じ資産」を購入すること
  • 「購入期限内」に代替資産の土地建物を購入していること

「売却した資産と同じ資産」の範囲は?

売却した資産と同じ資産とは、次のように範囲が決められています。

同種の資産

収用された資産が、次の資産のときは、その資産の同じ区分の資

  1. 土地または借地権など土地の上に存する権利
  2. 建物又は建物に附属する門、塀、庭園、煙突、貯水槽その他これらに類する構築物
  3. ②以外の構築物
  4. その他の資産(このときの代替資産は、収用等された資産と「同じ種類と用途」に限られる。)
一組の資産

収用等された資産が2つ以上の異なる資産で、居住用の土地建物のように一の効用を有する一組の資産となっているものは、その効用と同じ効用を有する資産を代替資産とすることができる。
このとき、一組の資産として規定が適用されるのは、次の用途に供されるものに限られる。

  1. 居住用
  2. 店舗または事務所
  3. 工場、発電所または変電所
  4. 倉庫
  5. 劇場、運動場、遊技場、その他これらの用の区分に類する用
事業用資産

収用等された資産が、その人の営む事業または事業に準ずるものに供されていた資産であるときは、その人の事業または事業に準ずるものの用に供する土地等または減価償却資産が代替資産となる。 

購入期限内は?

購入期限は、次のようになります。

  1. 収用等された同じ年に購入
  2. 収用等された日から2年以内に購入
  3. 収用等された日前の取得
    収用等された日前の取得は、以下の要件の「全部を満たす」必要がある
    • 事業認定や買取りの申出などがあった日以後に購入したもの
    • 購入した土地建物が措置法上の特別償却や割増償却の適用を受けていない
    • 収用等された年1月1日の前年1年以内に購入したもの
      ※土地や土地の上に存する権利のときは、収用等に伴い工場、事務所その他の建物、構築物、機械装置の建設や移転を要するときに、その工場等の敷地に使用するための宅地の造成やその工場等の建設や移転に要する期間が通常1年を超えると認められることその他これに類する事情があるときは、収用等された年の1月1日の前3年以内に購入

代替資産を購入しないで亡くなったとき

土地建物を収用され補償金で土地建物を購入したときの譲渡所得の特例は、収用等により資産を収用された人が代替資産を購入しないで死亡したときでも、次に該当するときは、その亡くなった人の収用等された資産の譲渡所得の特例の適用を受けることができます。

  • 亡くなる前に代替資産の購入に関する売買契約や請負契約を締結しているなど、代替資産が具体的に確定している
  • 相続人が購入期限内にその代替資産を取得している

土地建物が公共事業で収用されたときの特例の選択

公共事業のために土地建物を収用された(売却)ときは、次のうちどちらかの特例しかを受けることができない。

この特例の適用を受けるには

土地建物を収用され補償金で土地建物を購入したときの譲渡所得の特例の適用を受けるには、一定の書類を添付して確定申告をする必要があります。

上記の内容は、ブログ記載時点のものとなります。

具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。

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