ひとり親の一般の寡婦と特別の寡婦(かふ:女性)の控除および寡夫(かふ:男性)控除についてざっくり記載します。
2019年12月14日:税制改正大綱を追記
ひとり親 の一般の寡婦控除と特別の寡婦控除(女性)および寡夫控除(男性)
その年の12月31日に、ひとり親の寡婦または寡夫に該当するとき一定の金額を所得控除することができます。
所得控除とは?
所得控除とは、所得税を計算するときに利益から控除できる経費みたいなものです。
所得控除の種類によって、控除できる金額が違います。
また、所得控除の金額がそのまま税金が減るのではなく、所得控除×税率だけ税金が減るため収入金額や収入の種類によっていくら税金が減るかが変わります。
令和2年の税制改正大綱
2019年12月の税制改正大綱では、「未婚のひとり親の寡婦控除または寡夫控除の適用」と「寡婦控除(女性)と寡夫控除(男性)の見直し」が次のようになる予定です。
税制改正大綱は、通常、3月の国会で承認され、4月以降に施行される予定です。
- 2019年12月税制改正大綱の内容は、2020(令和2年)の所得税や年末調整で適用できる
- 未婚のひとり親について、次の条件を満たすときに寡婦控除(女性)と寡夫控除(男性)を適用できる。
- 総所得金額が48万円以下の生計を一にする子がいる
※他の人の控除対象配偶者、扶養親族となっていないこと - ひとり親の合計所得金額が500万円以下であること
※収入が給与のみのときは、年収688万8889円以下となります - ひとり親(または同一世帯の人)の住民票の続柄に「夫(見届)」または「妻(見届)」の記載がされていないこと
- 総所得金額が48万円以下の生計を一にする子がいる
- 扶養親族やひとり親と生計を一にする子がいる寡婦(女性)に、寡夫と同じく、次の所得制限をする。
- 合計所得金額が500万円以下であること。
※収入が給与のみのときは、年収688万8889円以下となります
- 合計所得金額が500万円以下であること。
- ひとり親(または同一世帯の人)の住民票の続柄に「夫(見届)」または「妻(見届)」の記載があるときは、寡婦控除(女性)または寡夫控除(男性)が受けられない。
- ひとり親と生計を一にする子がいる寡婦控除(女性)または寡夫控除(男性)の控除額が次のようになります。
- 所得税 27万円 → 35万円
- 住民税 26万円 → 30万円
- 寡婦控除(女性)の特例(特別の寡婦)を廃止する
※寡婦(女性)と寡夫(男性)の基準が同じになる
寡婦控除(女性)の金額
寡婦控除(女性)の金額は、つぎのようになります。
所得控除の金額 | |
一般の寡婦 | 27万円 |
特別の寡婦 | 35万円 |
寡婦控除(女性)のときの一般の寡婦と特別の違い
寡婦(女性)は、要件により「一般の寡婦」と「特別の寡婦」があります。
寡婦控除の「一般の寡婦(女性)」とは
寡婦控除の一般の寡婦(女性)とは、次の①または②に該当する人のことをいいます。
- 次の要件に該当すること。
- 夫と離婚、死別したあとに婚姻していない、または、夫の生死があきらかでない。
- 扶養親族がいる、または、次の要件に該当する生計を一にする子がいる。
※生計を一にする子の要件- 総所得金額が38万円以下でること。
※令和2年以降は総所得金額が48万円以下となります。 - 他の人の控除対象配偶者、扶養親族となっていないこと。
- 総所得金額が38万円以下でること。
- 次の要件に該当すること。
- 夫と死別したあとに婚姻していない、または、夫の生死があきらかでない。
- 合計所得金額が500万円以下であること。
※収入が給与のみのときは、年収688万8889円以下となります。
寡婦控除の「特別の寡婦(女性)」とは
次の要件のすべてに該当する人のことをいいます。
一般の寡婦と特別の寡婦の両方に該当するときは、特別の寡婦のみの適用となります。
- 夫と離婚、死別したあとに婚姻していない、または、夫の生死があきらかでない。
- 扶養親族の子がいること。
- 合計所得金額が500万円以下であること。
※収入が給与のみのときは、年収688万8889円以下となります。
「生計を一(いつ)にする」とは
日常生活の資(お金、お財布と表現する方もいます。)を共にすることです。
親族が同一の家で生活しているときは、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められるものを除き、生計を一にしているとされます。
また、勤務、修学、療養等の都合上、別居しているときでも次のどれかに該当するときは生計を一にしているものとされます。
- 生活費、学資金、療養費などを常に送金している。
- 別居しているしている人が、勤務や修学等の余暇には生活を共にしている。
扶養親族
次の要件にすべて該当する人をいいます。
また、年の途中で出国または死亡したときは、その出国または死亡したときに下記の要件にすべて該当するかを判断することになります。
- 配偶者(妻または夫)以外の親族で6親等以内の血族および3親等以内の姻族
※都道府県知事から養育を委託された児童(里子)、市町村から養護を委託された老人であるときも該当します。 - 所得税の納税者と生計一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
※収入が給与収入のみときは年収103万円以下 - その年に青色事業専従者として一度も給与の支払いを受けていないこと。
- 白色申告者の事業専従者ではないこと
寡夫控除の「寡夫(男性)」とは
次の要件のすべてに該当する人のことをいいます。
- 妻と離婚、死別したあとに婚姻していない、または、妻の生死があきらかでない。
- 次の要件に該当する生計を一にする子がいる。
- 総所得金額が38万円以下でること
※令和2年以降は総所得金額が48万円以下となります。 - 他の人の控除対象配偶者、扶養親族となっていないこと。
- 総所得金額が38万円以下でること
- 合計所得金額が500万円以下であること。
※収入が給与のみのときは、年収688万8889円以下となります。
寡夫控除(男性)の控除額
寡夫控除(男性)の金額は、27万円になります。
その他の所得控除
寡婦・寡夫控除以外の所得控除は、次のようなものがあります。
- 雑損控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- ideco(イデコ・確定拠出年金)の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
- 生命保険料控除
- 個人年金保険料控除(生命保険保険料控除)
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- ふるさと納税(寄付金控除)
- 寡婦・寡夫控除(現在のページ)
- 勤労学生控除
- 障害者控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
上記の内容は、ブログ記載時点のものとなります。
具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。
掲載の文章等の無断使用、無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士佐藤智明に帰属します。