個人で寄付をしたときに受けられる所得税の寄付金控除についてざっくり記載します。
寄付したときの所得税の寄付金控除
個人が、その年に特定寄付金を支出したときは、その特定寄付金を支出した人が一定の金額を所得控除することができます。
※年末調整ではふるさと納税(5件以下)の寄付金控除を受けることはできません。
所得控除とは?
所得控除とは、所得税を計算するときに利益から控除できる経費みたいなものです。
所得控除の種類によって、控除できる金額が違います。
また、所得控除の金額がそのまま税金が減るのではなく、【所得控除×税率】だけ税金が減るため収入金額や収入の種類によっていくら税金が減るかが変わります。
所得税の寄付金控除の所得控除額
寄付をしたときの所得税の寄付金控除額は、次のようになります。
- 寄付をした金額-2,000円
※寄付をした金額の上限は、総所得金額等×40%となります。
総所得金額とは?
「収入が給与のみ」のときの総所得金額額とは、次のどちらかで確認することができます。
- 【源泉徴収票】の「給与所得控除後の金額」
- 【確定申告書】の「所得金額の合計」
寄付金(ふるさと納税以外)をしたときに、いくら節税になるのか?
寄付金(ふるさと納税以外)をしたときに、節税になる金額は、つぎのようになります。
- 所得税
- 所得税
(寄付金-2,000円)×所得税率(5%~45%)
※寄付金の上限金額は、総所得金額等×40% - 復興特別所得税
①×2.1% - 節税になる所得税
①+②
- 所得税
- 住民税
- 住民税の基本分
(寄付金-2,000円)×10%
※寄付金の上限金額は、総所得金額等×30% - 住民税の特例分(ふるさと納税のみ)
なし - 節税になる住民税
①
- 住民税の基本分
- 所得税+住民税
たとえば、
所得税率45%の人が寄付金を50万円した場合には、次のようになります。
- 所得税
- 所得税
(500,000-2,000円)×45%(所得税率)=224,100円
※寄付金の上限金額は、総所得金額等×40% - 復興特別所得税
①×2.1%=4,706円 - 節税になる所得税
①+②=228,806円
- 所得税
- 住民税
- 住民税の基本分
(500,000-2,000円)×10%=49,800円
※寄付金の上限金額は、総所得金額等×30% - 住民税の特例分(ふるさと納税のみ)
なし - 節税になる住民税
①+②=49,800
- 住民税の基本分
- 所得税+住民税=278,606
所得税の寄付金控除の対象となる寄付金|特定寄付金
次のどれかに対する寄付金が対象となります。
- 国、地方公共団体
※寄付した人に特別の利益が及びと認められるものは該当しません。 - 公益社団法人、公益財団法人などに対するもので財務大臣が指定したもの
- 独立行政法人
- 社会福祉法人
- 更生保護法人
- 以下を主たる目的とする地方独立行政法人
- 試験研究
- 病院事業または社会福祉事業の経営
- 介護老人保健施設または博物館等の設置および管理
- 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、日本赤十字社
- 旧民法34条により設立された法人
- 特定公益信託のうち、その目的が特定公益増進法人の主たる目的と同様のものの信託財産としての支出
- 政党、政治資金団体、その他の政治団体、議員等の後援団体などに対するもので、
総務大臣または都道府県の選挙管理委員会に報告されたもの
※寄付をした人に特別の利益が及ぶもの、政治資金規正法に違反するものは該当しません。 - 私立学校法人のうち、学校、幼保連携型認定こども園、専修学校などの設置を主たる目的とする法人
- 特定新規中小法人が発行した特定新規株式を払い込みにより取得したときの株式取得金額※(1000万円限度)
- 令和元(2019)年6月1日以降にした、総大臣の指定がない地方公共団体へした(ふるさと納税対象外)の寄付
所得税の寄付金控除(所得控除)または政党等寄付金の特別控除(税額控除)の選択
令和6年12月31日までに政党または政治資金団体に一定の寄付金を支払ったときは、
支払った年の所得税額から一定額を控除することができます。
支払った寄付金は、寄付金控除(所得控除)または政党等寄付金の特別控除(税額控除)のどちらかを選択することができます。
しかし、政党等寄付金の税額控除の適用を受けるときは、その年にした政党などにした寄付金の全額が税額控除により計算をする必要があります。
所得税の寄付金控除の対象とならない寄付金
次の寄付金は寄付金控除の対象となりません。
- 学校の入学に関してするもの
- 社会福祉法人を設立するために支出したもの
- 宗教法人に対するもの
- 政治資金規正法に違反するもの
など
所得税の寄付金控除の適用を受けるには
所得税の寄付金控除の適用を受けるには、寄付金控除の欄に必要事項を記入して確定申告する必要があります。
その他の所得控除
寄付金控除以外の所得控除は、次のようなものがあります。
- 雑損控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- ideco(イデコ・確定拠出年金)の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
- 生命保険料控除
- 個人年金保険料控除(生命保険保険料控除)
- 地震保険料控除
- 寄付金控除(現在のページ)
- ふるさと納税(寄付金控除)
- 寡婦・寡夫控除
- 勤労学生控除
- 障害者控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
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具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。
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