ふるさと納税の所得税の所得控除、年末調整のワンストップ、確定申告

ふるさと納税(寄附金)の所得税の所得控除、年末調整のワンストップ特例制度、確定申告などについてざっくり説明します。

2019年6月20日:平成31年度改正の追記をしました。

ふるさと納税(寄附金)の概要

地方公共団体にふるさと納税(寄附)を行った場合に支払った年分の所得税の所得控除と
支払った翌年度分の住民税の税額控除が受けられます。

また、ふるさと納税の返礼品は法人(地方公共団体)から贈与された金品となり一時所得の対象となります。

所得控除とは?

所得控除とは、所得税を計算するときに利益から控除できる経費みたいなものです。

所得控除の種類によって、控除できる金額が違います。

また、所得控除の金額がそのまま税金が減るのではなく、【所得控除×税率】だけ税金が減るため収入金額や収入の種類によっていくら税金が減るかが変わります。

ふるさと納税(寄付金控除)の平成31年度改正

平成31年度改正により、2019年6月1日以降のふるさと納税(寄付金)について次のことが追加されました。

  1. 総務大臣が都道府県等をふるさと納税の対象として指定していること
  2. 返礼品が次の両方の条件を満たしていること
    • 返礼品の返礼割合が3割以下であること
    • 返礼品を地場産品とすること

ふるさと納税の所得税の所得控除額

ふるさと納税の所得税の所得控除額は、次のようになります。

  • ふるさと納税の金額-2,000円

ふるさと納税すると、いくら節税になるのか

ふるさと納税をしたときに、節税になる金額は、つぎのようになります。

  • 所得税
    1. 所得税
      (ふるさと納税の金額-2,000円)×所得税率(5%~45%)
      ※ふるさと納税の上限金額は、総所得金額等×40%
    2. 復興特別所得税
      ①×2.1%
    3. 節税になる所得税
      ①+②
  • 住民税
    1. 住民税の基本分
      (ふるさと納税の金額-2,000円)×10%
      ※ふるさと納税の上限金額は、総所得金額等×30%
    2. 住民税の特例分
      (ふるさと納税の金額-2,000円)×(100%-10%(住民税の基本分)-(所得税率+復興特別所得税)(5.105%~45.945%)
    3. 節税になる住民税
      ①+②
  • 所得税+住民税=ふるさと納税の金額-2,000円

つまり、

総所得金額の上限金額内であれば、「ふるさと納税の金額-2,000円」が節税となります。

たとえば、

所得税率45%の人がふるさと納税を50万円した場合には、次のようになります。

  • 所得税
    1. 所得税
      (500,000-2,000円)×45%(所得税率)=224,100円
      ※ふるさと納税の上限金額は、総所得金額等×40%
    2. 復興特別所得税
      ①×2.1%=4,706円
    3. 節税になる所得税
      ①+②=228,806円
  • 住民税
    1. 住民税の基本分
      (500,000-2,000円)×10%=49,800円
      ※ふるさと納税の上限金額は、総所得金額等×30%
    2. 住民税の特例分
      (500,000-2,000円)×(100%-10%(住民税の基本分)-45.945%(所得税率+復興特別所得税)=219,393円
    3. 節税になる住民税
      ①+②=269,194
  • 所得税+住民税=498,000(=ふるさと納税の金額-2,000円)

総所得金額とは?

「収入が給与のみ」のときの総所得金額額とは、次のどちらかで確認することができます。

  • 【源泉徴収票】の「給与所得控除後の金額」
  • 【確定申告書】の「所得金額の合計」

ふるさと納税の返礼品の一時所得

寄附者が返礼品(特産品)を貰った場合の経済的利益が一時所得に該当します。

  • 一時所得の金額 = その年の一時所得に係る総収入金額- その収入を得るために支出した金額の合計額 - 50万円

高額な返礼品、返礼品の回数が多い、または、生命保険の一時金、懸賞、福引の賞金品などの他の一時所得がある場合は注意が必要になります。

※ふるさと納税(寄附金)は、その収入を得るために支出した金額の合計額にはなりません。

年末調整でふるさと納税を受けるワンストップ特例制度

ふるさと納税(寄附金控除)の適用を受けようとする者は、原則、確定申告をしなけらばなりません。

しかし、次の要件を全て満たす人は確定申告をしないで住民税の税額控除(寄附金控除)を受けることができます。

  • 確定申告をする義務がない給与所得者等
  • ふるさと納税の件数が年間5件以下
  • 申請書を提出した者

※確定申告をした場合(個人住民税の確定申告を含む)、年間5件を超えたとき等は申請がなかったものるので確定申告の際に寄付金控除の記載が必要となります。

※寄附者側に不備がないものの鹿児島県阿久根市など一部の自治体側のミスで適用が受けられていないケースが発生しているようです。

確定申告でふるさと納税(寄付金控除)の適用を受けるためには

確定申告に必要事項を記入し、証明書を添付する必要があります。

ふるさと納税の申告を忘れたとき

確定申告期限から5年以内であれば申告すれば適用を受けることができます。

その他の所得控除

ふるさと納税(寄付金控除)以外の所得控除は、次のようなものがあります。

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具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。

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