退職金を受け取ったときの税金チェックリスト7項目

【確定申告】退職金を受け取ったときの税金チェックリスト

退職金を受け取ったときの税金ついてざっくり記載します。

2023年1月18日 令和3年度税制改正の令和4年適用分を追記

目次

退職金を受け取ったときの税金

退職金を受け取ったときは、退職所得として他の所得とは区分して所得税が計算されます。

退職金等を受け取るまでに「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人は、
確定申告をすることにより税金を精算することができます。

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退職所得の所得税の計算

退職金を受け取ったときの退職所得(分離課税)の計算は次の区分により計算されます。

  1. 原則
    退職所得=(退職金の額(源泉徴収前)-退職所得控除額)×1/2
  2. 退職金を受け取った人が特定役員等に該当するとき
    退職所得=(退職金の額(源泉徴収前)-退職所得控除額) 
  3. 令和4年1月1日以後、法人の役員以外の従業員で勤続年数が5年以下のとき
    • 退職所得控除後の金額≦300万円
      (短期退職手当等の収入金額-退職所得控除)×1/2
    • 退職所得控除後の金額>300万円
      150万円+{短期退職手当等の収入金額-(300万円+退職所得控除)}

退職金を受け取ったときの特定役員等に該当する人

退職金を受け取ったときの特定役員等とは、役員等の勤続年数が5年以下である次のいずれかに該当する人

  • 法人の役員、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人
  • 法人の経営に従事する一定の者
  • 国会議員
  • 地方公共団体の議会議員
  • 国家公務員
  • 地方公務員

退職金を受け取ったときの退職所得控除額

退職所得を計算するときの退職所得控除額は次のように計算します。

  • 勤続年数が20年以下のとき
    退職所得控除額=勤続年数×40万円
    ※80万円以下のときは、80万円となります。
    ※勤続年数に1年未満の端数があるときは、1年とします。(切上げ)
  • 勤続年数が20年を超えるとき
    退職所得控除額=800万円(20年分)+(勤続年数-20年)×70万円
    ※勤続年数に1年未満の端数があるときは、1年とします。(切上げ)
  • 障害者となったことが起因となり退職したとき
    退職所得控除額=上記(ア)または(イ)で計算した控除額+100万円

退職所得の税率と税額

課税退職所得金額の税率と控除額は次のとおりです。

  • 所得税額    課税退職所得金額×税率-控除額
  • 復興特別所得税 所得税額×2.1%
  • 住民税     課税退職所得金額×10%
課税退職金額 所得税率(%) 控除額(円)
 0円 ~ 1,949千円 5% 0円
195万円 ~ 3,299千円 10% 97,500円
330万円 ~ 6,949千円 20% 427,500円
695万円 ~ 8,999千円 23% 636,000円
900万円 ~ 17,999千円 33% 1,536,000円
1,800万円 ~ 39,999千円 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

退職所得の受給に関する申告書

退職金の受け取るときまでに「退職所得の受給に関する申告書」を提出の有無により
次のように取り扱いが異なります。

  1. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出したとき
    • 源泉徴収
      源泉徴収のときに、「4.退職所得の税率と税額」により税額が計算され、退職所得に係る課税は終了となります。
    • 原則、退職所得のために確定申告をする必要がない。
  2. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないとき
    • 源泉徴収
      所得税の源泉徴収税額=退職金の支払額×20.42%
    • 退職所得の税金を精算するために確定申告をする必要があります。

退職金を受け取ったときの税金の計算例

計算例)退職金1000万円、勤続年数11年、特定役員等に該当しない 

  • 退職所得の受給に関する申告書を提出したとき

    ①退職所得金額 (1000万円-(40万円×11年))×1/2=280万円

    ②源泉徴収税額
    ㋐所得税     ①×10%-97,500円=182,500円
    ㋑復興特別所得税 ㋐×2.1%=3,832円
    ㋒住民税     ①×10%=280,000円
    ㋓ ㋐+㋑+㋒=466,332円

  • 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないとき

    ①源泉徴収税額
    ㋐所得税     1千万円×20%=2,000,000円
    ㋑復興特別所得税 ㋐×2.1%=42,000円
    ㋒住民税     課税退職金額×10%=280,000円
    ㋓ ㋐+㋑+㋒=2,322,000円 

令和3年度税制改正大綱|今後の変更予定

令和3年度税制改正大綱により、令和4年分以後は次の変更が予定されています。

  • 特定役員以外も勤続年数が5年以下の退職者に支払う退職金のうち(退職金-退職所得控除額)が300万円を超える部分は、「×1/2」をしない
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