自宅を買い換えて譲渡益のときに受けられる節税メリットについてざっくり記載します。
自宅を買換えで譲渡益となったとき|譲渡所得/分離課税
個人所有の自宅を買い換えて譲渡益(旧自宅)となったときに、一定の要件に該当するときは、譲渡益の課税を繰り延べることができます。
売却金額と購入金額の関係により、その譲渡益の金額の取り扱いが異なります。
自宅の買い換えをして譲渡益があり、「旧自宅の売却金額 > 新自宅の購入金額」となったとき
「旧自宅の売却金額 > 新自宅の購入金額」となる自宅の買換えをしたときに、一定の要件を満たすときは、買換代金にあてた部分の譲渡益の課税を新自宅を売却するときまで繰り延べることができ、次のとおり計算します。
- 売却代金-購入金額
- (旧自宅の取得費+旧自宅の譲渡費用)×(①÷ 売却金額 )
- 譲渡所得 =①-②
自宅の買い換えをして譲渡益があり、「旧自宅の売却金額≦新自宅の購入金額」となったとき
「旧自宅の売却金額 < 新自宅の購入金額」となる自宅の買換えをしたときに、一定の要件を満たすときは、旧自宅の譲渡益を新自宅を売却するときまで繰り延べることができます。
- 旧自宅の売却時
旧自宅の売却金額-旧自宅の取得価額 =4000万円(譲渡益)
※ 一定の要件を満たすと売却時には課税されない。 - 新自宅を売却時
新自宅の売却金額-新自宅の取得価額=2000万円(譲渡益)+4000万円(①の譲渡益)=6000万円
税務上の新自宅の取得価額
税務上の新自宅の取得価額は次のようになります。
(旧自宅の取得費+譲渡費用)×新自宅の購入代金÷旧自宅の売却代金
上記の金額を、土地と建物の取得価額の比で案分することになります。
自宅の買い換えの譲渡益の対象となる売却した旧自宅の要件
自宅の買い換えの譲渡益の対象となる売却した自宅(旧自宅)に該当するものは次のとおりです。
- 国内の自宅であること
※2以上あるときは、主たる1つだけに限定されます。 - 以下のどちらかに該当する家または家とその敷地のであること
- 自分が現在住んでいる
- 住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却している
- 居住期間が10年以上であること
- 取得日~売却した年の1月1日までの所有期間が10年を超えること
※土地と建物の両方の所有期間が10年を超えること - 2023(令和5)年12月31日までに売却が行われたものであること
- 売却代金が1億円以下であること
※分割して売却しているときは、前々年、前年、本年、翌年、翌々年の5年間の合計で1億円以下であること - 家を取り壊したときは以下の要件をすべて満たすこと
- 敷地の取得日~家の取り壊した年の1月1日までの期間が10年を超えること
- 家を取り壊してから1年以内に譲渡契約がされたこと
- 住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却したこと
- 家を壊してから譲渡契約日までに貸駐車場などの利用をしていないこと
- 売却した年に以下の特例を受けていないこと
- 自宅を売却したときの3000万円の特別控除
- 自宅を売却したときの軽減税率
- 売却した年の前年、前々年に以下の特例を受けていないこと
- 自宅を売却したときの3000万円の特別控除
- 自宅を売却したときの軽減税率
- 自宅を売却し譲渡損となったときの損益通算および繰越控除
- 譲渡した相手が次のような一定の特別関係者でないこと
- 生計一親族
- 生計別の配偶者
- 生計別の直系血族
- 生計別の同居予定び親族
- 同族会社
自宅の買い換えの譲渡益の対象となる購入した新自宅の要件
対象となる購入した自宅(新自宅)に該当するものは次のとおりです。
- 本人が住む国内の自宅であること
※2以上あるときは、主たる1つものだけに限定されます。 - 旧自宅の売却した年の前年1月1日~売却した年の翌年12月31日までに購入したものであること
- 次の期間までに住むこと(見込みも含む)
- 売却した年または売却年の前年に購入したとき
売却した年の翌年12月31日まで - 売却した年の翌年に購入したとき
購入した年の翌年12月31日まで
- 売却した年または売却年の前年に購入したとき
- 家の居住用部分の床面積が50㎡以上(登記簿面積)であること
※マンションのときは独立部分の床面積が50㎡以上であること - 敷地の面積が500㎡以下であること
- 家が耐火建築物の中古物件であるときは、次の要件のどれかに該当すること
- 取得日以前25年以内に建築されたものであること
- 新耐震基準に適合していることが証明されたもの
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のもの
自宅の買い換え譲渡益の適用を受けるには
自宅の買換えの譲渡益の特例の適用を受けるためには、確定申告書の提出期限までに確定申告する必要があります。
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