中小企業者等が投資促進税制の対象となる設備を購入したときの30%増の特別控除と7%の税額控除についてざっくり説明をします。
2020年12月15日 令和3年度税制改正大綱について追記
投資促進税制の設備を購入したときの特別償却と税額控除
中小企業者等が、生産性向上等を目的として一定の設備投資を行ったときは、特別償却または税額控除の適用が受けられます。
平成31年度改正| 投資促進税制の設備を購入したときの特別償却と税額控除
投資促進税制の設備を購入したときの特別償却と税額控除は、平成31年度改正により次のようになりました。
- 適用期限が2年間延長され、2021(令和3)年3月31日までとなった
- 大法人に完全(100%)支配されている普通法人が対象外とされた
※大法人=資本金が5億円以上の法人など - 大規模法人に完全(100%)支配されている普通法人が対象外された
※大規模法人=大法人の100%子法人など
投資促進税制の特別償却の対象となる法人と個人事業者
投資促進税制の特別償却の対象となる法人と個人事業者は、青色申告書を提出するもののうち、特別償却の対象者となる中小事業者等は次のどれかに該当する事業者となります。
- 青色申告書を提出すること
- 次のどれかに該当する中小事業者等
- 常時使用する従業員が1,000人以下の個人事業者
- 資本金、出資金が「1億円以下」の法人
- 資本金、出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1,000人以下の法人
- 農業協同組合等
ただし、
資本金が1億円以下の法人でも次のどれかに該当したときは対象外となります。
- 大規模法人(資本金1億円超または常時使用従業員が1,000人超)から1/2以上の出資を受ける法人
- 複数の大規模法人から2/3以上の出資を受ける法人
- 平成31年度改正により、次の法人が追加されました
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
※大法人=資本金が5億円以上の法人など - 大規模法人に完全(100%)支配されている普通法人が対象外とされた
※大規模法人=大法人の100%子法人など
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
- 平成29年度改正により、2019年4月1日以後は、適用除外事業者に該当する法人が対象外となります。
※適用除外事業者=前3年間の所得金額が年平均15億円を超える法人
投資促進税制の税額控除の対象となる法人と個人事業者
投資促進税制の税額控除の対象となる法人と個人事業者は、青色申告書を提出するもののうち、次のどれかに該当する中小事業者等となります。
- 青色申告書を提出すること
- 次のどれかに該当する中小事業者等
- 常時使用する従業員が1,000人以下の個人事業者
- 資本金、出資金が「3,000万円以下」の法人
- 資本金、出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1,000人以下の法人
- 農業協同組合等
ただし、
資本金が3,000万円以下の法人でも次のどれかに該当したときは対象外となります。
- 大規模法人(資本金1億円超または常時使用従業員が千人超)から1/2以上の出資を受ける法人
- 複数の大規模法人から2/3以上の出資を受ける法人
- 平成31年度改正により、次の法人が追加されました
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
※大法人=資本金が5億円以上の法人など - 大規模法人に完全(100%)支配されている普通法人が対象外とされた
※大規模法人=大法人の100%子法人など
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
- 平成29年度改正により、2019年4月1日以後は、適用除外事業者に該当する法人が対象外となります。
※適用除外事業者=前3年間の所得金額が年平均15億円を超える法人
投資促進税制の対象なる期間
投資促進税制の対象なる期間は、平成10年6月1日から平成31年3月31日2021(令和3)年3月31日までの間に取得等し、事業に使用したものに適用があります。
※平成31年度改正によ2年間延長されました。
投資促進税制の特別償却を選択したとき
投資促進税制の特別償却を選択したときは、30%を上乗せして減価償却することができます。
※一つの資産で特別償却と税額控除の両方を受けることはできません。
中小企業・個人事業者が減価償却資産を購入したときについてざっくり記載します。2023年1月18日 追記減価償却資産を購入したときに確認したい7項目減価償却資産を購入したときに、購入金額、使用できる期間、青色申告などによ[…]
投資促進税制の税額控除と選択したとき
投資促進税制の税額控除と選択したときは、以下のどちらか少ない金額が控除できます。
- 取得価額×7%
※船舶のときは、取得価額×75%×7% - 税額×20%
※税額控除は、次の税額控除の合計で法人税の20%までが上限となります。- 経営強化設備等の税額控除
- 投資促進税制の税額控除
- 経営改善設備(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)の税額控除
※その年度で控除しきれない金額があるときは、1年間の繰越ができます。
※一つの資産で特別償却と税額控除の両方を受けることはできません。
投資促進税制の対象となる設備等
中小企業者等の投資促進税制の対象となる設備は次のとおりです。
平成20年4月1日以後に契約した所有権移転外リース取引により取得した設備等は、税額控除のみ適用ができます。
※他に貸し付けるために取得した資産は、原則、対象外です。
- 機械装置 1台の取得価額 160万円以上
- 測定工具及び検査工具 1台の取得価額 120万円以上
※複数合計の措置があります - 車両及び運搬具 貨物運送用の普通自動車で車両総重量3.5t以上
※貨物運送用でも小型自動車は対象外 - ソフトウェア 一の取得価額 70万円以上
※複数合計の措置があります
※複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用のOSのうち一定のものなどは除きます。 - 内航海運業の船舶
なお、器具及び備品は、平成29年度税制改正で対象外となりました。
医療機器は器具及び備品のため対象外です。
投資促進税制の対象とならない事業
中小企業者等の投資促進税制の対象とならない事業は次のとおりです。
- 不動産業
- 物品賃貸業
- 電気業、水道業
- 娯楽業(映画業は対象)
- 性風俗関連特殊営業に該当する事業
- 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業
など
令和3年度税制改正大綱|今後の変更予定
令和3年度税制改正大綱により、次の変更が予定されています。
- 適用期限を2年延長される
- 対象指定事業に次の事業が追加される
- 不動産業
- 物品賃貸業
- 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)
- 対象法人に商店街振興組合が追加される
- 対象資産から、匿名組合契約等の目的である事業の用に供するもが除外される
- 商業、サービス業、農林水産業活性化税制を中小企業投資促進税制に統合される
- 所得税も同様
2020年12月10日に令和3年度税制改正大綱が公表されました。令和3年度税制改正大綱のうち法人税のおもな今後の変更について記載します。中小企業者等の法人税の軽減税率の特例次の変更が予定されています。適用期限を2年延長→2[…]
その他の特別償却と税額控除
投資促進税制の設備を購入時の30%増の特別償却と7%の税額控除以外の特別償却または税額控除は、おもに次のようなものがあります。
- 経営強化設備等を取得時の100%即時の特別償却または10%の税額控除
- テレワーク等設備を購入したときの100%即時償却と10%税額控除
- 地域未来投資促進税制を利用したときの50%特別償却または5%税額控除
- 経営改善設備を取得したときの30%増の特別償却と7%の税額控除
- IOT投資を5000万円以上した時の30%特別償却と5%税額控除
- 地方に本社機能を移転・拡充したときの25%特別償却と7%税額控除
- 地方に本社機能を移転拡充をしたときの雇用促進税制90万円税額控除
- 2018年4月以降に保育施設用設備を取得したときの15%特別償却
- 2017年4月以降の給与の増加と設備投資したときの25%税額控除
上記の内容は、ブログ記載時点のものとなります。
具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。
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