上場株式等の配当金等の源泉所得税、住民税と申告方法

【確定申告】上場株式等の配当金の源泉所得税、住民税と申告方法

上場株式等の配当金等を受け取ったときの源泉所得税、住民税と申告方法についてざっくり記載します。

2023年1月18日:令和5年分以降の上場株式等の配当金の所得税と住民税(地方税)の申告方法の選択を追記

目次

上場株式等の配当金を受け取ったとき

上場株式等の配当金を受け取ったときは、その配当金は配当所得として所得税が課税されます。

上場株式等の配当金の所得|税金計算

上場株式等の配当金を受け取ったときには次の算式により配当所得が計算されます。

配当所得=収入金額(源泉徴収前の金額)-株式等を取得するための借入金の利子※
※申告不要制度の適用を受けるときは借入金の利子を控除できません。 

上場株式等の源泉徴収される税金

上場株式等の配当金は、その支払いを受けるときに次の所得税等を源泉徴収されます。

  1. 所得税      配当金×15%
  2. 復興特別所得税  配当金×0.315%(所得税15%×2.1%)
  3. 住民税(地方税) 配当金×5%
  4. ①+②+③= 配当金×20.315%

※上場株式等の発行済株式数の3%以上(大口株主)を保有しているときは、非上場株式等と同じ取り扱いとなります。

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上場株式等の配当等の分類

上場株式等の配当等は、「特定上場株式等の配当等」と「特定上場株式等の配当等以外の配当等」に分類されます。

特定上場株式等の配当等 特定上場株式等の配当等以外の配当等
上場株式等の利子等のうち出資総額等が3%未満のもの 公募特定受益証券発行信託の収益の分配
上場株式等の配当等のうち出資総額等が3%未満のもの 公募特定目的信託の社債的受益権の剰余金の配当
公募特定投資信託(特定株式投資信託を除く)のうち、公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配 左記以外の公募特定投資信託(特定株式投資信託を除く)の収益の分配
特定投資法人の投資口の配当等 特定公社債(国債や地方債など)の利子

特定上場株式等の配当等の種類

特定上場株式等の配当等の種類は、おもに次のとおりです。

  1. 株式、出資または基金
  2. 特定株式投資信託
  3. オープン型証券投資信託
  4. 国外株式または国外投資信託等
  5. 投資信託または特定受益証券発行信託のうち、②・③・④以外

特定上場株式等の配当等以外の配当等の種類

特定上場株式等の配当等以外の配当等の種類は、おもに次のとおりです。

  1. 公社債
  2. 社債的受益権
  3. オープン型証券投資信託
  4. 国外公社債等または国外投資信託等
  5. 投資信託または特定受益証券発行信託のうち、③・④以外

特定上場株式等の配当金等の申告方法

特定上場株式等の配当金の税金を計算するときは、次のどれかを選択し税金を計算することとなります。

また、確定申告するときは、特定上場株式等の配当金のすべての株式を「申告分離課税」か「総合課税」のどちらを選択して申告することなります。

  • 総合課税(他の所得(給与所得など)と合計し税金を計算する)
  • 申告分離課税(上場株式等の譲渡損と損益通算(相殺)できる
  • 確定申告不要(確定申告をしないで、源泉徴収された税金で課税関係は終了します。)
    ※上場株式等の発行済株式数の3%以上(大口株主)を保有しているときは、
    非上場株式等と同じ取り扱いとなります。

主な特徴は以下のとおりです。

  総合課税 申告分離課税 確定申告不要
確定申告 する する しない
借入金利子の控除 できる できる できない
所得税率 5%~45%
累進課税
15% 15%
復興特別所得税 所得税率×2.1% 0.315% 0.315%
住民税(地方税) 10% 5% 5%
上場株式等の譲渡損との損益通算(相殺) できない できる できない
配当控除(所得控除) できる できない できない
基礎控除、扶養親族等の判定の合計所得金額 含まれる 含まれる
※譲渡損との相殺後
含まれない

特定上場株式等の配当金等以外の配当等の申告方法

特定上場株式等の配当金以外の配当等の税金を計算するときは、次のどれかを選択し税金を計算することとなります。

  • 総合課税 選択できない
  • 申告分離課税(上場株式等の譲渡損と損益通算(相殺)できる
  • 確定申告不要(確定申告をしないで、源泉徴収された税金で課税関係は終了します。)
    ※上場株式等の発行済株式数の3%以上(大口株主)を保有しているときは、
    非上場株式等と同じ取り扱いとなります。

主な特徴は以下のとおりです。

  申告分離課税 確定申告不要
確定申告 する しない
借入金利子の控除 できる できない
所得税率 15% 15%
復興特別所得税 0.315% 0.315%
住民税(地方税) 5% 5%
上場株式等の譲渡損との損益通算(相殺) できる できない
配当控除(所得控除) できない できない
基礎控除、扶養親族等の判定の合計所得金額 含まれる
※譲渡損との相殺後
含まれない
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上場株式等の配当金の所得税と住民税(地方税)の申告方法の選択

2022(令和4)年までの上場株式等の配当金は、所得税および地方税の税額計算は異なる選択をすることができます。
たとえば、

  • 所得税は総合課税、地方税は申告不要
  • 所得税は総合課税、地方税は申告分離課税
  • 所得税は申告分離課税、地方税は申告不要
    など

令和5年以降の上場株式等の配当金の所得税と住民税(地方税)の申告方法の選択

2023(令和5)年分以降の上場株式等の配当金は、所得税および地方税の税額計算は、同じ選択をすることになります。

確定申告するときの注意事項

源泉徴収選択口座の上場株式等の配当等の金額を確定申告するときは、次のことに注意する必要があります。

  • 源泉徴収選択口座の上場株式等の譲渡所得等の譲渡益と同じ源泉徴収選択口座の上場株式等の配当所得等の金額のどちらかのみを申告することができる。
  • 源泉徴収選択口座の上場株式等の譲渡所得等の譲渡損を申告して、他の上場株式等の譲渡益や申告分離を選択した上場株式等の配当等損益通算するときは、同じ源泉徴収選択口座の配当所得等の金額は、確定申告不要は選択できない

令和2年以降に確定申告するときの注意事項

2020(令和2)年以降、確定申告を選んだときに、合計所得金額が2,400万円を超えるときは所得税の基礎控除が減額されることになります。

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