相続人が未成年のときに相続税から控除できる未成年者控除|11項目

相続人が未成年のときに相続税から控除できる未成年者控除

相続人が未成年のときに相続税から控除できる未成年者控除についてざっくり説明します。

目次

相続があったときの未成年者控除

相続または遺贈により財産を取得した者のうちに一定の未成年者がいるときは、その未成年者の納付する相続税額から一定額を控除することができます。

対象となる人

下記の①~③のすべてを満たす未成年者が対象となります。

  1. 20歳未満の者であること
  2. 被相続人(亡くなった方)の法定相続人であること 
    相続の放棄があったときには、その放棄がなかったものとしたときに法定相続人であること

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  3. 次の①または②のどちらかに該当すること。
    1. 相続または遺贈で財産を取得したに日本国内に住所がある人。
      ※一時居住者で、かつ、被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人であるときは対象となりません。
    2. 相続または遺贈で財産を取得したに日本国内に住所がある方で、次のどれかに該当する人。
      • 日本国籍であり、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
      • 日本国籍であり、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人
        ※被相続人が、一時居住被相続人または非居住被相続人であるときは対象となりません
      • 日本国籍ではない人
        ※被相続人が、一時居住被相続人、非居住被相続人または非居住外国人であるときは対象となりません

未成年者控除の対象者の図解

未成年者控除の対象者図

※「黄色」に該当する人が未成年者控除の対象となります。
※「経過措置あり」と記載がある箇所は、非居住外国人となります。

一時居住者の要件

一時居住者とは、相続開始時に出入国管理および難民認定法別表第一上欄の在留資格を有する人で、その相続開始時前15年以内のうち日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以内である方をいいます。

一時居住被相続人

下記の要件をすべて満たす亡くなった人(被相続人)のことをいいます。

  • 相続開始時に出入国管理および難民認定法別表第一上欄の在留資格を有していたこと。
  • 相続開始時に日本国内に住所があったこと。
  • 相続開始前15年以内に日本国内に住所を有していた期間期間の合計が10年以下であること。

非居住相続人①

下記の要件をすべて満たす亡くなった人(被相続人)のことをいいます。

  • 相続開始時に日本国内に住所がなかったこと。
  • 相続開始前10年以内に日本国内に住所がある人のうち、相続開始前15年以内に日本国内に住所を有していた期間期間の合計が10年以下であること
  • 相続開始前15年以内に日本国内に住所を有していた期間期間の合計が10年以下
    (その期間引き続き日本国籍を有していなかった人に限る。)

非居住相続人②

相続開始前10年以内に日本国内に住所を有したことがなかった亡くなった人(被相続人)で
国籍は関係ありません。

非居住外国人

下記の①および②を満たすときは、経過措置として平成29年4月1日~2022年(令和4年)3月31日までの間は、亡くなった人(被相続人)が平成29年4月1日から相続開始時まで引き続き国内に住所を有さず、日本国籍がない方(=非居住外国人)

  • 被相続人の要件
    • 相続開始時に国内に住所がないこと。
    • 相続開始前10年以内に国内に住所があること。
    • 非居住相続人に該当しないこと。
  • 相続人の要件
    • 相続開始時に日本国内に住所がないこと。
    • 相続開始時に日本国籍ではないこと。

未成年者控除額の計算

未成年者控除額=(20歳-相続開始時の年齢)×10万円    

※相続開始時の年齢が15歳3カ月だったとき
20歳-15歳3カ月=4年9カ月→5年 ※1年未満は切上
5年×10万円=50万円

未成年者の扶養義務者から控除できる未成年者控除

未成年者の相続税額より未成年者控除額が多いときに、その未成年者の扶養義務者で同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得したときは、その扶養義務者の相続税額から未成年者控除額を控除することができます。

たとえば、

未成年者 相続税20万円、未成年者控除額50万円
20万円-50万円=-30万円(控除不足額)

扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹並びに3親等内の親族のうち一定者)
相続税額 50万円
50万円-20万円(未成年者の控除不足額)=20万円

過去に未成年者控除を受けていたとき

未成年者が過去に未成年者控除を受けていたときの2回目以降の未成年者控除は、それまでに相続税額から控除した未成年者控除の残額の範囲内しか控除することはできません。

1回目の相続開始時 15歳 相続税額20万円
(20歳-15歳)×10万円=50万円-20万円=30万円(控除不足額)

2回目の相続開始時 18歳
(20歳-18歳)×10万円=20万円<30万円 ∴20万円(少ない金額)

その他の相続税の税額控除

未成年者控除以外の相続税の税額控除は、おもに次のようなものがあります。

上記の内容は、ブログ記載時点のものとなります。

具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。

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