新型コロナウイルス感染症緊急経済対策のため
中小企業等がテレワーク等の設備をしたときは、中小企業経営強化税制の「全額即時の特別償却と10%(7%)の特別控除」の適用を受けることができるようになりました。
このテレワーク等の設備を購入したときの特別償却と税額控除についてざっくり説明します。
テレワーク等設備を購入したときの特別償却と特別控除
中小企業等経営強化法の認定(経営革新等支援機関のサポートを受けるができます。)を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得(制作、建設)して指定事業の用に使い始めたときは、使い始めた年度に、全額を即時償却又は税額控除のどちらかを選択適用することができます。
新型コロナウイルスの影響により、
中小企業等経営強化税制が拡充され、生産性向上設備と収益力強化設備の類型に加えて、
「テレワーク等の設備を購入したときの【デジタル化設備のC類型】」が追加されることになりました。
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類型 | 【C類型】 デジタル化設備 (テレワーク) | 【A類型】 生産性向上設備 | 【B類型】 収益力強化設備 |
要件 | 遠隔操作、可視化、自動制御化のどれかを可能にする設備 | 生産性が旧モデル比平均1%以上向上する設備 | 投資収益率が年平均5%以上の投資計画の設備 |
対象となる法人と個人事業者
経営強化設備等の対象となる法人と個人事業者は、青色申告書を提出するもののうち、次のどれかに該当する中小事業者等となります。
- 青色申告書を提出すること
- 次のどれかに該当する中小事業者等
- 資本金、出資金が1億円以下の法人
- 資本金、出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1000人以下の法人
- 常時使用する従業員が1000人以下の個人事業者
ただし、
資本金が1億円以下の法人でも次のどれかに該当したときは対象外となります。
- 大規模法人(資本金1億円超または常時使用従業員が千人超)から1/2以上の出資を受ける法人
- 複数の大規模法人から2/3以上の出資を受ける法人
- 平成31年度改正により、次の法人が対象外となります。
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
※大法人=資本金が5億円以上の法人など - 大規模法人に完全(100%)支配されている普通法人が対象外とされた
※大規模法人=大法人の100%子法人など
- 大法人により完全(100%)支配されている普通法人
- 平成29年度改正により、2019年4月1日以後は、適用除外事業者に該当する法人が対象外となります。
※適用除外事業者=前3年間の所得金額が年平均15億円を超える法人
対象期間
経営強化設備等の対象なる期間は、平成29年4月1日から平成31年3月31日2021年3月31日までの間に取得等したものに適用があります。
※平成31年度改正によ2年間延長されました。
特別償却を選択したとき
経営強化設備等の特別償却を選択したときは、全額を即時償却することができます。
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税額控除と選択したとき
経営強化設備等の税額控除と選択したときは、以下のどちらか少ない金額が控除できます。
- 取得価額×10%
※資本金が3000万円超1億円以下のときは「7%」 - 税額×20%
※税額控除は、次の税額控除の合計で法人税の20%までが上限となります。- 経営強化設備等の税額控除
- 投資促進税制の税額控除
- 経営改善設備(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)の税額控除
※その年度で控除しきれない金額があるときは、1年間の繰越ができます。
※一つの資産で特別償却と税額控除の両方を受けることはできません。
デジタル化設備等の設備の種類
デジタル化設備等の対象となる設備の種類は、次のとおりです。
- 機械装置
- 工具
- 器具備品
- 建物付属設備
- ソフトウェア
また、
上記の設備が『遠隔操作、可視化、自動制御化』のどれかを可能にする設備であることが要件となります。
デジタル化設備等の設備の要件
経営強化設備等のデジタル化設備(C類型)は、次の『遠隔操作、可視化、自動制御化』のどれかを可能にする設備であり、投資計画を達成するために必要な設備になります。
- 遠隔操作
- デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
- 以下のどちらかを目的とすること
事業を非対面で行うことができるようにすること
事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること
- 可視化
- データの集約・分析をデジタル技術を用いて行うこと
- ①のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
- ①により事業プロセスに関する最新の状況を把握し「経営資源等の最適化」を行うことができるようにすること
※「経営資源等の最適化」とは「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
- 自動制御化
- デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
- ①の指令が、現在行っている事業プロセスに関する「経営資源等を最適化」するためのものであること
※「経営資源等の最適化」とは「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
対象とならないとき
経営強化設備等の対象とならない設備等は、次のとおりです。
- 中古品
- 国外での投資であること
- 事務用器具備品
- 本店、寄宿舎等に係る建物附属設備等
- 設備の修繕等
デジタル化設備の税制等の適用を受けるには
デジタル化設備等の適用を受けるには、つぎの流れで手続き等をする必要があります。
- 認定経営革新等支援機関に、「投資計画案の確認依頼」をして「事前確認書を発行」してもらう。
- 所轄の経済産業局へ「確認書発行申請」をして「確認書を発行」してもらう。
※標準処理期間が約1か月間くらい必要 - 主務大臣(担当省庁)に「計画申請」をして、経営強化法の「計画認定」を受ける。
※標準処理期間が約1か月間くらい必要 - 「デジタル化設備を購入」する
- 法人税の申告をする。
経営力向上設備等に係る固定資産税の特例とダブル適用
経営力向上設備等に係る固定資産税の特例とダブル適用が可能です。
その他の特別償却と税額控除
経営強化設備等を取得時の100%即時の特別償却または10%の税額控除以外の特別償却または税額控除は、おもに次のようなものがあります。
- 地域未来投資促進税制を利用したときの50%特別償却または5%税額控除
- 経営改善設備を取得したときの30%増の特別償却と7%の税額控除
- 投資促進税制の設備を購入時の30%増の特別償却と7%の税額控除
- IOT投資を5000万円以上した時の30%特別償却と5%税額控除
- 地方に本社機能を移転・拡充したときの25%特別償却と7%税額控
- 地方に本社機能を移転拡充をしたときの雇用促進税制90万円税額控除
- 2018年4月以降に保育施設用設備を取得したときの15%特別償却
- 2017年4月以降の給与の増加と設備投資したときの25%税額控除
- 経営強化設備等(A類型とB類型)を取得時の100%即時の特別償却と10%の税額控除
上記の内容は、ブログ記載時点のものとなります。
具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。
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