中小企業経営強化税制のうちテレワーク等の設備を購入したときの特別償却と税額控除についてざっくり理解できる。
テレワーク等設備を購入したときの特別償却と特別控除
中小企業等経営強化法の認定(経営革新等支援機関のサポートを受けるができます。)を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得(制作、建設)して指定事業の用に使い始めたときは、使い始めた年度に、全額を即時償却又は税額控除のどちらかを選択適用することができます。
新型コロナウイルスの影響により、中小企業等経営強化税制が拡充され、生産性向上設備と収益力強化設備の類型に加えて、
「テレワーク等の設備を購入したときの【デジタル化設備のC類型】」が追加されることになりました。
令和元年度に追加 | 令和3年度に追加 | |||
類型 | A類型 | B類型 | C類型 | D類型 |
名称 | 生産性向上設備 | 収益力強化設備 | デジタル化設備 (テレワーク) | 経営資源集約化設備 |
確認者 | 工業会等 | 経済産業局 | 経済産業局 | 経済産業局 |
要件 | 生産性が旧モデル比平均1%以上向上する設備 | 投資収益率が年平均5%以上の投資計画の設備 | 遠隔操作、可視化、自動制御化のどれかを可能にする設備 | 修正ROAの上昇または有形固定資産回転率の上昇の投資計画に記載された設備 |
対象となる事業者
個人事業者
経営強化設備等の対象となる個人事業者は、次に該当する個人事業者です。
- 個人事業者の青色申告書を提出していること
- 常時使用する従業員が千人以下の個人事業者
法人|中小企業者
経営強化設備等の対象となる法人は、次に該当する中小事業者です。
- 法人の青色申告書を提出していること
- 次のどれかに該当する中小事業者等
- 資本金、出資金が1億円以下の法人
- 資本金、出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員が千人以下の法人
ただし、資本金1億円以下の法人でも、次のどれかに該当したときは「みなし大企業」に該当し対象外になる
- 単体の大規模法人(資本金1億円超または資本や出資を有しない常時使用従業員が千人超)に発行済株式等の50%以上の所有をされている法人
- 複数の大規模法人に発行済株式等の2/3以上の所有されている法人
- 平成29年度改正により、2019年4月1日以後は、適用除外事業者に該当する法人
※適用除外事業者=前3年間の所得金額が年平均15億円を超える法人 - 平成31年(令和元年)度改正により、次の法人が追加された
- 大法人(資本金5億円以上の法人など)に100%支配されている法人
- 大法人の100%子会社(みなし大企業)に発行済株式等の50%以上を保有されている法人
- 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の100%保有されている会社(みなし大企業)に50%以上保有されている法人
対象期間
経営強化設備等の対象なる期間は、平成29年4月1日から平成31年3月31日2023(令和5)年3月31日までの間に取得等したものに適用があります。
※令和元年度改正 2021(令和3)年3月31日まで2年間の延長
※令和3年度改正 2023(令和5)年3月31日まで2年間の再延長
※令和5年度改正 2025(令和7)年3月31日まで2年間の再々延長予定
特別償却を選択したとき
経営強化設備等の特別償却を選択したときは、全額を即時償却することができます。
税額控除と選択したとき
経営強化設備等の税額控除と選択したときは、以下のどちらか少ない金額が控除できます。
- 取得価額×10%
※資本金が3千万円超1億円以下のときは「7%」 - 調整前法人税額×20%
※税額控除は、次の税額控除の合計で法人税の20%までが上限となります。- 経営強化設備等の税額控除
- 投資促進税制の税額控除
- 経営改善設備(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)の税額控除
※その年度で控除しきれない金額があるときは、1年間繰越ができる
※一つの資産で特別償却と税額控除の両方を受けることはできない
デジタル化設備等の設備の種類|C類型
デジタル化設備等の対象となる設備の種類は、次のとおりです。
- 機械装置
- 工具
- 器具備品
- 建物付属設備
- ソフトウェア
また、上記の設備が『遠隔操作、可視化、自動制御化』のどれかを可能にする設備であることが要件となります。
デジタル化設備等の設備の要件
経営強化設備等のデジタル化設備(C類型)は、次の『遠隔操作、可視化、自動制御化』のどれかを可能にする設備であり、投資計画を達成するために必要な設備になります。
遠隔操作
- デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
- 以下のどちらかを目的とすること
- 事業を非対面で行うことができるようにすること
- 事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること
可視化
- データの集約・分析をデジタル技術を用いて行うこと
- ①のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
- ①により事業プロセスに関する最新の状況を把握し「経営資源等の最適化」を行うことができるようにすること
※「経営資源等の最適化」とは「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
自動制御化
- デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
- ①の指令が、現在行っている事業プロセスに関する「経営資源等を最適化」するためのものであること
※「経営資源等の最適化」とは「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
対象とならない設備等
経営強化設備等の対象とならない設備等は、次のとおりです。
- 中古品
- 国外の投資
- 事務用器具備品
- 本店、寄宿舎等の建物附属設備等
- 設備の修繕等
デジタル化設備の税制等の適用を受けるには
デジタル化設備等の適用を受けるには、つぎの流れで手続き等をする必要があります。
※標準処理期間が約1か月間くらい必要
※標準処理期間が約1か月間くらい必要
経営力向上設備等に係る固定資産税の特例とダブル適用
経営力向上設備等に係る固定資産税の特例とダブル適用が可能です。
その他の特別償却と税額控除
経営強化設備等を取得時の100%即時の特別償却または10%の税額控除以外の特別償却または税額控除は、おもに次のようなものがあります。
- 地域未来投資促進税制を利用したときの50%特別償却または5%税額控除
- 経営改善設備を取得したときの30%増の特別償却と7%の税額控除
- 投資促進税制の設備を購入時の30%増の特別償却と7%の税額控除
- IOT投資を5000万円以上した時の30%特別償却と5%税額控除
- 地方に本社機能を移転・拡充したときの25%特別償却と7%税額控
- 地方に本社機能を移転拡充をしたときの雇用促進税制90万円税額控除
- 2018年4月以降に保育施設用設備を取得したときの15%特別償却
- 2017年4月以降の給与の増加と設備投資したときの25%税額控除
- 経営強化設備等(A類型とB類型)を取得時の100%即時の特別償却と10%の税額控除
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