2017年4月以降に中小企業者等が給与引上げ&設備投資をしたときの25%の税額控除についてざっくり記載します。
2020年12月15日 令和3年度税制改正大綱について追記
給与引上げ&設備投資したときの税額控除
平成30年4月1日~2021(令和3)年3月31日の間に開始する事業年度に中小企業者等が、国内雇用者の給与を引上げるなどの要件を満たしたときは、法人税から一定額を税額控除することができます。
個人事業者は平成31年分以降の適用になります。
給与引上げ&設備投資したときの税額控除の対象となる法人
給与引上げ&設備投資したときの税額控除の対象となるのは、次に該当する法人または農業協同組合等が該当します。
- 青色申告書を提出していること
- 資本金1億円以下であること
- 次のどちらかに該当しないこと
- 発行済株式数の1/2以上を資本金1億円超の法人に単独所有されている
- 発行済株式数の2/3以上を資本金1億円超の法人に所有されている
など
- 資本などを有しない法人のときは、常時雇用従業員が1000人以下のとき
- 適用を受けようとする事業年度開始前3年の所得の合計額が15億円を超えない
給与引上げ&設備投資したときの税額控除の平成29年度改正
給与引上げ&設備投資したときの税額控除は、平成29年度改正により、2019年4月1日以後は、適用除外事業者に該当する法人が対象外となります。
適用除外事業者とは、前3年間の所得金額が年平均15億円を超える法人
給与引上げ&設備投資したときの税額控除の金額
給与引上げ&設備投資したときの税額控除額は、次のとおりになります。
限度額は法人税の20%となります。
- 原則
- 通常要件のみを満たしたとき
(当期の国内雇用者給与-前期の国内雇用者給与)×15% - 「通常要件+上乗せ要件」の両方を満たしているとき
(当期の国内雇用者給与-前期の国内雇用者給与)×20%
- 通常要件のみを満たしたとき
- 中小企業者の特例
- 通常要件のみを満たしたとき
(当期の国内雇用者給与-前期の国内雇用者給与)×15% - 「通常要件+上乗せ要件」の両方を満たしているとき
(当期の国内雇用者給与-前期の国内雇用者給与)×25%
- 通常要件のみを満たしたとき
給与の増加と設備投資したときの税額控除の中小企業者の特例の要件
給与引上げ&設備投資したときの税額控除の中小企業者の特例の適用を満たす要件は次のとおりです。
- 通常要件は次のすべてを満たす必要があります。
- 当期の国内雇用者給与 > 前期の国内雇用者給与
- (継続雇用者の当期の国内雇用者給与-継続雇用者の前期の国内雇用者給与)÷ 継続雇用者の前期の国内雇用者給与 ≧ 1.5%
※継続雇用者=「前期+当期」のすべての月に給与の支給を受けた人
- 上乗せ要件は、次の要件のすべてを満たす必要があります。
- 当期の国内雇用者給与 > 前期の国内雇用者給与
- (継続雇用者の当期の国内雇用者給与-継続雇用者の前期の国内雇用者給与)÷ 継続雇用者の前期の国内雇用者給与 ≧ 2.5%
- 次のどちらかを満たすこと
- (当期の教育訓練費-当期前1年以内の教育訓練費の年平均額)÷当期前1年以内の教育訓練費の年平均額 ≧10%
- 事業年度終了日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、経営力向上が確実に行われたものとして証明がされ一定の書類を確定申告書に添付すること
給与の増加と設備投資したときの税額控除の中小企業者以外(原則)の要件
給与引上げ&設備投資したときの税額控除の中小企業者以外(原則)の要件は次のとおりです。
青色申告書を提出し次の要件を満たすときは、中小企業者以外でも適用を受けられます。
- 通常要件は次のすべてを満たす必要があります。
- 当期の国内雇用者給与>前期の国内雇用者給与
- 当期の国内設備投資額≧当期の減価償却費×90%
- (継続雇用者の当期の国内雇用者給与-継続雇用者の前期の国内雇用者給与)÷継続雇用者の前期の国内雇用者給与≧3%
※継続雇用者=「前期+当期」のすべての月に給与の支給を受けた人
- 上乗せ要件は、次の要件のすべてを満たす必要があります。
- 通常要件の要件のすべてを満たすこと
- (当期の教育訓練費-当期前2年以内の教育訓練費の年平均額)÷当期前2年以内の教育訓練費の年平均額 ≧20%
2017年4月1日以降の新設法人の設立事業年度
2017年4月1日以降は新設法人の設立事業年度は、給与引上げ&設備投資したときの税額控除の適用ができなくなりました。
令和2年税制改正大綱
2019年12月の税制改正大綱では、「給与引上げ&設備投資したときの税額控除の中小企業者以外(原則)の要件」が次のようになる予定です。
税制改正大綱は、通常、3月の国会で承認され、4月以降に施行される予定です。
- 当期の国内設備投資額≧当期の減価償却費×95%(現在90%)
令和3年度税制改正大綱|今後の変更予定
次の変更が予定されています。
- 青色申告書を提出する法人(個人事業者)
- 令和3年4月1日~令和5年3月31日までの開始する事業年度
- 国内新規雇用者に給与等を支給すること
- 新規雇用者給与等支給額の新規雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2%以上
- 控除対象新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除ができる
- 上記を満たしたときに、教育訓練費の比較教育訓練費に対する増加割合が20%以上のときは、控除対象新規雇用者給与等支給額の20%の税額控除ができる
- 控除税額の上限は、法人税額の20%
- 設立事業年度は対象外
- 個人事業者(所得税)も同様
2020年12月10日に令和3年度税制改正大綱が公表されました。令和3年度税制改正大綱のうち法人税のおもな今後の変更について記載します。中小企業者等の法人税の軽減税率の特例次の変更が予定されています。適用期限を2年延長→2[…]
その他の特別償却と税額控除
2017年4月以降の給与引上げ&設備投資したときの25%税額控除以外の特別償却または税額控除は、おもに次のようなものがあります。
- 経営強化設備等を取得時の100%即時の特別償却または10%の税額控除
- テレワーク等設備を購入したときの100%即時償却と10%税額控除
- 地域未来投資促進税制を利用したときの50%特別償却または5%税額控除
- 経営改善設備を取得したときの30%増の特別償却と7%の税額控除
- 投資促進税制の設備を購入時の30%増の特別償却と7%の税額控除
- IOT投資を5000万円以上した時の30%特別償却と5%税額控除
- 地方に本社機能を移転・拡充したときの25%特別償却と7%税額控除
- 地方に本社機能を移転拡充をしたときの雇用促進税制90万円税額控除
- 2018年4月以降に保育施設用設備を取得したときの15%特別償却
上記の内容は、ブログ記載時点のものとなります。
具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。
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