紙の書類をスキャナ保存をするとき確認事項6項目

スキャナ保存をするときの対象となる書類、要件、承認など

スキャナ保存をするときの対象となる書類、要件、承認など6項目についてざっくり説明します。

2020年12月15日 令和3年度税制改正大綱について追記

目次

スキャナ保存制度

原則、書類の保存方法は、出力した紙で保存することになります。

例外として、スキャナ保存制度では、次のときは紙の領収等をスキャンして保存することができます。

  • 保存義務者が重要書類および一般書類について、一定の要件を満たしていること
  • 納税地等の所轄税務署長等の承認を受けていること

対象となる書類

下記の書類並びにこれらの写しが対象となります。

  1. 重要書類
    • 契約書、領収書
    • 請求書、納品書、送り状、輸出証明書
    • 預り証、借用証書、預金通帳、小切手、約束手形
    • 有価証券受渡計算書、社債申込書
    • 契約の申込書(定型的約款無し)
  2. 一般書類
    • 口座振替依頼書
    • 見積書、注文書、納品書
    • 契約の申込書(別途定型的約款が定められているもの)
      例)保険契約申込書など
    • 検収書、入庫報告書、貨物受領書

「保存義務者」とは?

  • 法人は、法人税の納税義務者となります。
  • 個人は、不動産所得、事業所得、山林所得を生じる業務を行っている個人となります。

スキャナ保存するための一定の要件

  1. 重要書類および一般書類の共通要件
    • 解像度が200dpi以上であること
    • 受領者が読取をするときは、受領後、受領者が署名し、一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプを書類の受領後3日以内に付すこと
    • 読み取った解像度、階調の情報を保存すること
    • 書類の記録事項に訂正、削除を行ったときは、その事実および内容を確認できる会計ソフトを使用する
    • 入力者または直接の監督者の情報を確認できるようにしておくこと
    • 帳簿とスキャン保存した書類との間で、相互に関連性を確認できること
    • 会計ソフトの説明書などの備付けをしていること
    • 年月日、勘定科目、取引金額やその範囲を指定して検索できるなど一定の検索機能を確保しておくこと
  2. 重要書類のみの要件
    • 書類の受領後1週間以内または業務サイクル期間(最長1ヵ月以内)から1週間以内に入力すること
      ※一般書類は入力期間に制限はありません
    • カラー画像で読み取り24ビットカラー以上であること
      ※一般書類は白黒でも認められます
    • 書類の大きさがA4より大きいときは大きさの情報を保存すること
    • 書類の受領から入力につき規定を定め、その規定に従って処理をすること
      • (ア)各事務をそれぞれ別の者が行う体制
      • (イ)内容確認の定期的な検査体制および手続
      • (ウ)不備があったときの再発防止体制
        ※常時従業員数が20人(主たる事業が商業またはサービス業のときは5人)以下で、税務代理人が(イ)を行うときは、(ア)は不要となります。
    • カラーディスプレイ、カラープリンタ、その説明書を備付けていること
      ※一般書類はカラーである必要はない

納税地の所轄税務署長の承認

スキャン保存に代える日の3カ月前の日までに申請書を提出し、承認を受けなけれる必要があります。

事業年度の中途からでも、それ以後の分をスキャン保存にすることができます。

スキャナとは?

スキャナ、複合機、スマートフォン、デジタルカメラなどをいいます。

令和3年度税制改正大綱|今後の変更予定

令和3年度税制改正大綱により、次の変更が予定されています。

  • 次の変更が予定されています。

    • 事前承認制を廃止する
    • タイムスタンプの付与期間が最長約2か月以内になる(現在は、3日以内)
    • スキャナで保存する国税関係書類への自署がいらなくなる
    • 訂正、削除したときの記録を、タイムスタンプの付与に代えることができる
    • 相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備等の適正事務処理要件定が廃止される
    • スキャナ保存された記録に、隠ぺい、仮装された内容があり、期限後申告、修正申告、更正、決定等があったときは、重加算税+申告漏れ等の本税10%となる
      など
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