個人事業者が青色申告をしたときの特典の一つ『青色申告特別控除』についてざっくり理解できる
2021年1月24日追記:令和2年度の確定申告
個人事業者の青色申告特別控除 確認事項4選
個人事業者が青色申告しているときは、その個人事業者の利益(所得)から青色申告特別控除の一定額を控除できる。
この青色申告書特別控除の上限金額、対象事業、条件などを確認しておきましょう
青色申告特別控除の金額
令和2年度以降の青色申告特別控除の上限金額は、つぎとおりです。
- 65万円
- 55万円
- 10万円
対象事業
青色申告特別控除の対象となる事業は、次の3種類
- 不動産所得の対象となる事業(不動産等の賃貸)
- 事業所得の対象となる事業
- 山林所得の対処となる事業
不動産所得の青色申告特別控除の条件、控除額の上限
不動産賃貸業の個人事業者は、一定の要件を満たすと青色申告特別控除を控除できる
青色申告特別控除65万円の条件
不動産等賃貸業の個人事業者は、つぎの条件を満たすと青色申告特別控除を最大65万円を控除できる
- 青色申告の承認を受ける
- 不動産等の賃貸事業を行う
- 不動産等の賃貸事業が「事業的規模」に該当する
- 複式簿記(正規の簿記の原則)で記帳する
- 確定申告書に青色申告特別控除の金額を記載する
- 確定申告書を提出期限内に提出する
- 確定申告書に次の書類を添付する
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 令和2年度以降の確定申告では、次のどちらかを当てはまる
- e-Tax で電子申告をする
- 電子帳簿保存 ※税務署に事前申請が必要
上記以外の場合でも、不動産等の賃貸事業のほかに、事業所得が発生する事業を兼業し、その事業所得が青色申告特別控除の最大65万円の条件を満たしている
青色申告特別控除55万円の条件
不動産等賃貸業の個人事業者は、つぎの条件を満たすと青色申告特別控除を最大55万円を控除できる
- 青色申告の承認を受ける
- 不動産等の賃貸事業を行う
- 不動産等の賃貸事業が「事業的規模」に該当する
- 複式簿記(正規の簿記の原則)で記帳する
- 確定申告書に青色申告特別控除の金額を記載する
- 確定申告書を提出期限内に提出する
- 確定申告書に次の書類を添付する
- 貸借対照表
- 損益計算書
上記以外の場合でも、不動産等の賃貸事業のほかに、事業所得が発生する事業を兼業し、その事業所得が青色申告特別控除の最大55万円の条件を満たしている
青色申告特別控除10万円の条件
不動産等の賃貸事業のみの個人事業者は、次のようなときは、青色申告特別控除を最大10万円を控除できる
- 青色申告の承認を受ける
- 不動産等の賃貸事業を行う
- 不動産等の賃貸事業が「事業的規模」に該当しない
- 現金主義で取引記録をする
- 確定申告書に青色申告特別控除の金額を記載する
- 確定申告書に次の書類を添付する
- 損益計算書
など、65万円または55万円の青色申告特別控除の条件にあてはまらない青色申告者
不動産等賃貸業の「事業的規模」の判断
不動産賃貸業が、次のようなときは「事業的規模」になる
- マンションなどの部屋数などが「おおむね10室以上」を賃貸している
- 一軒家などの賃貸する家が「おおむね5棟以上」を賃貸している
- 貸地や駐車場など「おおむね50件以上」を賃貸している
※1室=土地の貸付件数『おおむね5』
また、賃貸部屋数が7室と貸地15件を貸しているなども事業的規模になる
事業所得の青色申告特別控除の条件、控除の上限
青色申告特別控除65万円の条件
事業所得に該当する事業を行う個人事業者は、つぎの条件を満たすと青色申告特別控除を最大65万円を控除できる
- 青色申告の承認を受ける
- 事業所得に該当する事業を行う
- 複式簿記(正規の簿記の原則)で記帳する
- 確定申告書に青色申告特別控除の金額を記載する
- 確定申告書を提出期限内に提出する
- 確定申告書に次の書類を添付する
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 令和2年度以降の確定申告では、次のどちらかを当てはまる
- e-Tax で電子申告をする
- 電子帳簿保存 ※税務署に事前申請が必要
青色申告特別控除55万円の条件
事業所得に該当する事業を行う個人事業者は、つぎの条件を満たすと青色申告特別控除を最大55万円を控除できる
- 青色申告の承認を受ける
- 事業所得に該当する事業を行う
- 複式簿記(正規の簿記の原則)で記帳する
- 確定申告書に青色申告特別控除の金額を記載する
- 確定申告書を提出期限内に提出する
- 確定申告書に次の書類を添付する
- 貸借対照表
- 損益計算書
青色申告特別控除10万円の条件
事業所得に該当する事業を行う個人事業者は、次のようなときは、青色申告特別控除を最大10万円を控除できる
- 青色申告の承認を受ける
- 事業所得に該当する事業を行う
- 現金主義で取引記録をする
- 確定申告書に青色申告特別控除の金額を記載する
- 確定申告書に次の書類を添付する
- 損益計算書
など、65万円または55万円の青色申告特別控除の条件にあてはまらない青色申告者
山林所得の青色申告特別控除の条件、控除額
山林売却業をしている個人事業者は、次のようなときは、青色申告特別控除を最大10万円を控除できる
- 青色申告の承認を受ける
- 山林の売却事業のみをしている
- 不動産等賃貸業の所得(儲け)と事業所得(儲け)が赤字で、山林所得が黒字だったとき
など
青色申告特別控除の対象となる事業を兼業しているときの控除する順番
青色申告特別控除の対象となる事業を兼業しているときは、青色申告特別控除を控除する順番は、次のようになる
- 不動産所得
- 事業所得
- 山林所得
青色申告特別控除の上限金額は、兼業していても65万円または10万円が限度になる
上記の内容は、ブログ記載時点のものとなります。
具体的な事案は各専門家へご相談されることをお勧め致します。
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