父母等から贈与を受けた住宅取得等資金の贈与税の非課税

父母等の直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金の贈与税の非課税についてざっくり説明します。

2020年12月14日 令和3年度税制改正大綱について追記
2023年1月18日 令和4年度税制改正のリライト

父母、祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与税の非課税

平成27年1月1日~202(令和)年12月31日までに、父母などの直系卑属から金銭を贈与され、贈与をされた人が日本国内に自分の居住用家と敷地(新築に先行して取得される土地等も含む。)を取得したときに、条件を満たすときは、一定の限度額まで贈与税は非課税となります。

※不動産の贈与を受けた場合は対象にはなりません。
※住宅ローンを返済するための金銭の贈与は対象にはなりません。

住宅取得等資金の贈与税の非課税の対象となる贈与を受けた人|受贈者

住宅取得等資金の贈与税の非課税の対象となる贈与された人は、つぎの条件を満たす必要があります。

  • 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(=子、孫などで、養子も含む。)であること。
    ※受贈者の配偶者の父母、祖父母は、養子縁組をしていない限り、傍系ぼうけい)尊属であるため直系尊属には該当しません。
  • 贈与されたときに、日本国内に住所があり、かつ、日本の国籍であること
    ※納税義務者区分の改正により、平成29年4月1日以後に住宅取得等資金の贈与受けた場合で、以下2つのどちらにも該当する場合は日本国内に住所を有していることから除かれます。
    • 受贈者が一時居住者である。
    • 贈与者が一時居住者又は非居住贈与者である。
  • 令和4年3月31日までに贈与を受けた場合は、1月1日に20歳以上であること
  • 令和4年4月1日以降に贈与を受けた場合は、1月1日に18歳以上であること
  • 贈与を受けた年分の所得税の合計所得金額が2,000万円以下であること
    ※家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満のときは、合計所得金額が1,000万円以下であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた資金の全額を使い住宅用家屋の新築等すること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、
    または、同日以後遅滞なく居住することが確実であると見込まれること。
    ※贈与を受けた年の翌年12月31日までに、その家屋に居住しないときは、
    この特例を適用を受けることができません。
    同日から2か月経過日までに修正申告をし増加した税額を納付することになります。
  • 受贈者の配偶者、親族などの一定の特別な関係者からの取得、請負契約等により
    新築、増改築等をしたものではないこと
  • 平成21年~令和3年まで、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の適用を受けたことがないこと

住宅取得等資金の贈与税の非課税の対象となる新築または取得したときの家屋等

住宅取得等資金の贈与税の非課税の対象となる新築または取得の家は、つぎの条件を満たす必要があります。

  1. 新築又は取得のとき
    家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合は専有部分の床面積)が5040㎡以上240㎡未満であり、かつ、その床面積の1/2以上が受贈者の居住用であること。
  2. 取得のときは以下のどれかに該当すること。
    • 建築後使用されたことがないこと
    • 建築後使用されたことがある場合
      • 昭和57年1月1日以後に建築されたもの
      • 耐火建築物の場合 取得日以前25年以内に建築されたもの※令和4年以後廃止
      • 耐火建築物以外の場合 取得日以前20年以内に建築されたもの※令和4年以後廃止
      • 耐震基準に適合するもとして証明されたもの
        ※「耐震基準適合証明書」又は「建設住宅性能評価書の写し」など
      • 耐震改修を行うことにつき申請等をし、
        かつ、取得期限までに耐震基準に適合することとなったことにつき証明されたもの

住宅取得等資金の贈与税の非課税の対象となる増改築等したときの家屋等

住宅取得等資金の贈与税の非課税の対象となる増改築等の家は、つぎの条件を満たす必要があります。

  • 家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合は専有部分の床面積)が5040㎡以上240㎡未満であることかつ、その床面積の1/2以上が受贈者の居住用であること
  • 増改築等の工事が自己の所有、かつ、居住用家屋に行われたものであり、
    一定の工事に該当することが証明されたものであること。
    ※「確認済証の写し」、「検査済証の写し」、「増改築等工事証明書」など
  • 増改築等の工事費用が100万円以上であること。
  • 増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けるには

贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書に非課税の特例の規定を受ける旨を記載し、申告する必要があります。

住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額

受贈者ごとに、次の表のとおりとなり、住宅用家屋の種類、契約締結日に応じた金額となります。

(イ) 下記(ロ)以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1,200万円700万円
令和2年4月1日~令和3年12月31日 1,000万円500万円
令和4年1月1日~令和5年12月31日 1,000万円500万円

 

(ロ)住宅用家屋の新築等の対価等の消費税率が10%であるとき

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日3,000万円2,500万円
令和2年4月1日~令和3年12月31日1,500万円1,000万円

 

住宅取得等資金の贈与税の非課税と暦年贈与の基礎控除の併用

暦年贈与の基礎控除(110万円)と併用することができます。

併用するときは、

先に住宅取得等資金の非課税限度額を控除し、その残額に暦年贈与の基礎控除(110万円)を控除することになります。

住宅取得等資金の贈与税の非課税と相続時精算課税の原則との併用

相続時精算課税の原則と併用することができます。

この併用をするときは、

先に住宅取得等資金の非課税限度額を控除し、その残額に相続時精算課税制度の原則を控除することになります。

贈与者が亡くなったときの相続税と住宅取得等資金の贈与税の非課税の関係

住宅取得等資金を贈与者が亡くなった場合において、住宅取得等資金の非課税の金額を受けた金額は、相続税の課税価格に加算されません。

相続財産に加算されない贈与財産

以下の財産は、被相続人(亡くなった人)から生前に贈与を受けていたときでも
相続財産に加算されません。

住宅ローン控除と住宅取得等資金の贈与税の非課税の関係

住宅取得等資金の非課税の適用を受ける者が、所得税の住宅ローン控除を受けるときは、
下記の①が②を超える金額は、住宅ローン控除の適用が受けられません。

  1. 住宅借入金等の金額
  2. 住宅用家屋の対価等-住宅取得等資金の非課税

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